株式会社ドラゴン 会社説明会編

柊れい

株式会社ドラゴン 会社説明会

皆さんこんにちは、株式会社ドラゴンの会社説明会へようこそ!

私は営業部営業課のレッドドラゴンです。


今日は皆さんに私の仕事内容や一日のスケジュールなどをお伝えし、入社してからのイメージを膨らませてもらえれば幸いです。


営業課の仕事は勿論営業。ドラゴンの出演作品を取ってくることです。


私がここに入社する前はドラゴンといえば引く手数多だったらしいのですが、時代が平成令和と移り変わりなかなかスムーズに契約が決まらなくなっているというのが正直なところです。


テレビ、映画、漫画やアニメ、ゲームと幅広く活躍できるのがドラゴンです。

ただ、私たちドラゴンは役どころが難しいのです。

固定概念からか、中ボス以上にほぼ限定されてしまっています。

ただ、ここも時代の流れというか、多様化してきており私たちドラゴンの仲間が主役を張ることも増えてきています。

勿論主役作品は契約金か桁違いです。


皆さん勘違いしやすいところですが、「ドラゴン」と作品名に入っているものは数多くありますが、大抵やられ役です。

高貴なる私たちドラゴンがやられ役ばかりでは先代たちに顔向けできなくなってしまいます。

やられ役はあくまで本来ドラゴンでなくても良いところに無理矢理ねじ込んだ結果です。

やられ役の契約では満足してはなりません。





では、一日のスケジュールをお伝えします。

出社は10時です。ドラゴンは明け方まで勇者と戦う事が多いので出社時刻は他社と違いゆっくりとしています。

そらから1時間くらいかけて、発声練習とメールチェックです。ドラゴンたる者相手を威圧する唸り声には磨きをかけています。


11時からアポイント取りの電話です。先方から資料をと言われたら大チャンスです。メールやFAXではなく必ず直接届けに行きましょう。

私たちドラゴンは凄い速さで空を飛べます。この姿を見た先方で契約を結ばなかったところはありません。

相手が何と言ってもそこは必ず直接伺います。


12時から13時は昼休みです。

この時間帯にドラゴンと戦おうとする勇者はあまりいないので突発的な仕事もほぼ入らずしっかりと休む事が出来ます。


13時からは有れば先方との打ち合わせ、なければアポイント取りです。

打ち合わせの場合は登場シーンをいかに増やせるかが重要なのですが、先ほども申したように中ボスクラスに収まる事が多いです。

忘れられるチョイ役ですよね。だから印象に残る技などを提案していきます。

これでドラゴンのイメージが大きく変わり需要が一気に高まる事もあります。



ドラゴンといえば炎ですよね。私が過去に提案したもので現代にも定着しているのが、炎以外の属性の攻撃です。吹雪を吐いたり、雷を出したりするドラゴンです。

ドラゴンからそれは反則じゃないかのような事を言われましたが、だったらドラゴンの色を属性がイメージできる色にしてしまおう。と、今よく見かける形になりました。


皆さんも準備をして提案まで出来れば契約は取ったようなものですよ。気負わずに頑張りましょう。

なんて言っても私たちはドラゴンなのですから。



夕方以降は勇者の接待です。

ある程度苦しめてから負けてください。負ける前に強力な全体攻撃をかますと非常に、っぽいです。



では、最後に質疑応答に移ります。

何か質問がある方は天に向かい炎吐いてください。


はい、では後ろの方の黒いドラゴンさん。

あの人のとこまでマイク持ってって。


「暗黒大学のダークドラゴンと申します。貴重なお話ありがとうございました。一点質問がございます。

勇者との接待ですが、勇者相手にドラゴンが勝っても構わないのでしょうか?勝ってしまうと接待にならないのではないかと思うので、是非教えてもらえませんか?」


はい、勇者との接待で最終的には負けることが重要です。しかし、中には攻略法を探す事が生き甲斐の勇者も数多くいるのです。

新たな攻略法を見つけてネットに上げてチヤホヤされたいのでしょう。

だからそのタイプであれば行動パターンを固定しつつ何回か倒します。

それを乗り越えることに快感を求める勇者かどうかを見極めることは経験値がものをいうので、数多くの経験を重ねるといいと思います。


これで回答になったでしょうか?


「はい、ありがとうございます。」


では、まだまだ聞きたいこともあるとは思いますがお時間になってしまいました。


他に質問がある方は是非感想欄にどうぞ。



以上株式会社ドラゴン会社説明会でした。

皆さまのエントリーお待ちしております。

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