第31話 「あなたのための歌の群れ」 詩人になりたいパンダ④


『あの人に会いに 穂村弘対談集』穂村弘より

「表現のオリジナリティなんて必要ないんじゃないかな。」横尾忠則



★★★

「あなたのための歌の群れ」


『きみにしかないものが、必ずある。さがしなさい』

あなたはそういって、去ってしまった。

私はいまだに、何の光も探せない。


つくってもつくっても

どこかで見たような影がある。

さらってもさらっても、なずんだ文字しか出てこない。


きっとあなたが

私のカケラをもっていってしまった。

それであなたの寿命を1日でもながくあがなえたのなら

悔いはないのだけれど。



ふと。秋の日に伸びる

幼い子供の影を見る。

そこにあなたの香りを見る。


ああ。

ここにあったのか。

探し続けていた物語。

あなたから預かり、彼らに伝える物語。


よくあるお話

どこかで聞いた言葉尻。

それでいい。

この物語は

あなたのための歌の群れです。




★★★

物語というのは「預かって書くもの」という意識が、どこかにあります。

水ぎわはフィルターであり、それ以上ではない。

ただしフィルターである以上、詰まりのないようにつねに精神の一か所を清浄にしておき、空白を維持する努力が必要であると思っています。


あなたに届けたい物語まで。

あと数歩、です。

がんばります(笑)

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