02 突撃作戦

「よし、ここだな……」


茂みをかき分け、その先を見据えながらつぶやくダイル。

俺はため息をつき、吐き捨てた。


「何故、俺まで……」

「いいじゃねぇの。お前さんだって騎士だろう」

「別に俺は……」


あれから数時間後、半ば強引に連れられてここまで来たはいいものの、俺は俺の目的を果たせればそれでいい。

故に、付き合う義理などないのだが……


「硬いこと言いなさんな、『旅は道連れ、世は情け』だぞ、少年」

肩をバシバシとたたきながら笑うこの男の力強さに負け、引っ張られてきてしまった。我ながら情けない話だ。


「ほら見ろ」

そんな俺をよそに、ダイルがどこかを指さす。その先には――


「あれは」

黒い装束にスクラップのような装飾品を纏った、異形の人型。

名前は確か……『レンカ』だったか。

ハイヴァンドどもが使役する、量産型兵士。一体一体は弱いものの、数がとにかく多いのが特徴だ。

それが徘徊しているという事は、近くに奴らがいる何よりの証拠。


「ビンゴだな……やっぱりこの先、何かある」

顎へ手を当てて頷くダイル。

ハイヴァンドが関わっているというのなら、タクトの居場所を掴む手掛かりになるやもしれない。

少し、興味が湧いてきた。付き合ってやろう。


「それで、どうするつもりだ?」

「お、急に乗り気だねぇ。……正面から突っ切る。レンカどもなら蹴散らしたほうが手っ取り早いしな」

「そんなことをしなくても、ここら一帯ごと吹き飛ばしてしまえば……」

「アホかお前」

「なっ、誰がだ」

「お前さん以外いねえだろ……ここは一般人も頻繁に立ち入る場所だ、吹っ飛ばしなんかしたらどでかい被害が出るだろ。そんなこともわかんねぇのか」

「奴らを殲滅できるのなら、致し方ない犠牲だろう」

「ったく、物騒だねぇ最近の子は……まぁさせねぇけどさ」

「……」

俺の肩に手を置きつつ、立ち上がるダイル。


「んじゃ、行くぞ」

そう言って懐から獲物を――聖剣を取り出す。

確か、ジャマダハル……カタールと言われることもある刀剣の一種だったか。

刀身が二股に分かれてはいるものの、あの特徴的な形状はそうだろう。

刀身の根元には、三重構造になった円形のパーツが見受けられる。おそらく、あの部分へレコードを挿入する仕組みか。


「よし、行こうか少年!」

「フン」


合図とともに俺たちは息を合わせ、飛び出す。

そして各々の聖剣へレコードをセットし――


「獣装っ!」

「……獣装」


『Warning! Warning! スピンにご注意デッドヒート! バーニング!クロコダ・イ・ル!』

『シャイニングファルコン!』


それぞれ、鎧を纏った。

着地した俺たちに反応し、一斉に振り向くレンカども。


「さぁて、ぶっち切るぜぇ!」

「……潰す」


向かってくる無数の敵を見据え、それぞれ獲物を構える。

はたしてこの先に、いったい何があるのだろうか――?

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