第7話 久しぶり
アランが向かった先は4年前によく通っていたゲームセンターだった。外側は4年前となにも変わらないのに、中に入ると昔よりも人が多くて驚いた。と言っても都会のゲームセンターと比べると全然少ない。アランはゲームセンターの中を歩き回り目当ての人を探していたが、全然見つからなかった。やはりもういなかったかと諦めて帰ろうとしたとき、後ろから声をかけられた。
「アラン?」
振り向くと20代後半くらいに見える男と女が立っていた。
「ロトさん?ヨハンネさん?」
「そうだよ。やっぱアランか。いやさっきからさ、声をかけようか迷ってたんだ。随分と大人っぽくなったな。」
「4年経ってますからね。でも2人はちっとも変ってないですよ。あ、ライさんって来てます?」
「呼んだか、アラン」
アランの目線の先にいる人物は大学生にも見える男だった。そしてこの人物に会いにアランはやってきたのである。
「相変わらず。若いっすね。僕と大学生やります?」
「おいおい。もう俺は28だぞ。それよりなんでここに?」
「強くなりたいなって思って」
アランは3人にここ数日の出来事を話した。
「なるほど。要するにルカって子に恋をしたのか。セシーカが怒るぞ~」
ヨハンネが軽く冗談を言った。この女はいつもこんな調子だったなとアランは思い出した。
「ルカって子にどうしても勝ちたいんだろ。それはわかった。でもルカって子はお前のことなんてもう忘れてると思うぞ。そんな子に勝つためにわざわざお泊り会まで断ったのか。お前はバカか」
「いや。だって、どうせ行っても頭の中はルカにどう勝つかでいっぱいだし」
「とりあえず。今の実力を見てやるよ。座りな」
アランとライはゲーム機の前に座った。ここのゲームセンターは5台設置されているので、どこかしらは常に空いている。アランはスダクートを、ライはリズを選んで試合が始まった。
お互い中距離で射撃戦を繰り返しているが、アランは押されていた。アランの攻撃は当たらず、逆にライの攻撃はアランに当たる。
「おい、おい、アラン。どうした。随分となまっているな」
「あんた強すぎるよ」
「お前が辞めてからの4年間ずっとやってたからな」
アランの射撃に対し、ライは丁寧に丁寧に対応し、そしてアランの回避動作を読み、ライフルを撃つ。アランは勝てないと悟った。どうやってもダメージを与えられない。ライフルが当たる気がしなかった。そして別に小細工のないこちらの動きに合わせた射撃を返してくる。なぜか回避できない。あっけなくアランは負けてしまった。後ろで見ていたロトがアランの肩に手を置いた。
「4年もブランクがあるから当然の結果だ。まずはこのレベルの戦いに慣れるところからだな。とりあえず量をこなそう」
「私も付き合ってあげるよ。ライとロトは会社員だから夜しか来れないけど、私はここで働いてるからね」
「ありがとう。ヨハンネさん」
「今日はもう帰りな。久しぶりに戻ってきたんだろ。家族とゆっくりで飯でも食え。練習は明日からだ」
「そんなのいいよ」
「駄目だ。何気ない時間が後から大切になってくるんだ。安心しろ。明日からみっちりしごいてやる」
「わかったよ。じゃあ帰る前にこれだけ教えてくれ。俺はさっきの勝負は全力でやったつもりだ。昔の俺が100だとすると、今の俺はいくつだ?」
「うーん。30。いや35」
「そっか」
アランはまた明日と言い残し、家に帰った。
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