宗善の第二章 年寄りの経験と知識は過去の遺物
第13話 何もかも消えた孤独者
4年が経過
僕は小学5年生になった
あれから、僕の学校生活は暗いものだった、
まず、人と会話をしなくなった
人と遊ばなくなった
勉強がついていけなくなった
運動不足で太り、毎日毎日、周りとの、差が明日の僕の不安になる
3年生、8才の時から徐々に同級生と絡むことがなくなり、年下の子と遊んでいた
それだけならよかったのだが、時間が経過するにつれて、だんだん体が思い通りに動かなくなる
誰かと会話をしなくては、誰かと関わらなければ、誰かと繋がらなくては…
そんなことが頭の中をぐるぐる思考する
しかし、どれ一つとして行動が起こせないでいる
僕は変化していく自分を感じながら常に思っていた…
《何か、おかしい》
明らかに何かがおかしい
1年生の頃は、あんなに普通だったのに
どこにでもいる、子供だったのに
未来があり、可能性があった、幼少期だったはずなのに、なぜ…
《僕は今、引きこもっているんだ?》
◆◇◆◇◆◇
学校へ行く、小学5年生になると新しい担任の先生が、挨拶をする、また女性教員だ
「おはようございます」
「おはようございます」
「今日は、先週行ったテストを返していきたいと思います!」
僕は、全く勉強に追いついていないでいた
おかしんだ!
前は、ちょっと家で復習すれば、ちゃんと平均点は取れていたはずなんだ!
それなのに今は…
国語…3点、社会…5点、理解…8点
数学………0点
なんでだ……
目から涙が滲む
努力は、必死でやったかって言ったら、そんなにしてないかもしれない
でも、サボったか?と言われれば、断じてそう言うわけでもない
いつからだ?いつからこんなに勉強ができなくなっていたんだ?
この成績は確実に学年で最下位だ
家に帰りたくない、この答案用紙を母に見せたら、《殴られる》
「では、赤点をとった人は残ってください」
先生が、そういうと、赤点をとったクラス生徒だけが放課後、教室に残った
残った人数は…1人
《僕だけだ》
「ねぇ!なんで君だけが、残っているのか分かる?」
声が出ない!首を横に振る
「頭じゃなくて、声出せ!」
「わかりません」
「わからないんだ!おかしいなー、君が勉強をしてないからだろ!」
勉強ならしている、ノートもしっかりとっている、話も最後まで聞いているでも、
分からないんだ!!
そういえばよかった、だが、《声が出ない》
「無視か!お前は言葉も忘れたのか?」
また、目に涙が溢れる
「本当はさ!お前を6年生にさせたくないんだよ!点数出さないと、落とすぞ!」
だって、わからないんだ
「宿題も全然やってこないし、私を舐めてるのか!」
その宿題の内容もわからないんだ
「誰かに教えてもらうとか、しろよ!」
首を横に振る
誰も、教えてくれないんだ、
同級生からは、避けられる、毎日のように、誰かの前で、先生に怒られているから、
「お父さんとかに、教えてもらうとかないの?」
首を横に振る
母と父はダメなんだ…
父は、会社を解雇されちゃったから…
韓国人ってだけあって、日本語は会話レベルに話せるけど、仕事するとなると、
厳しいらしい、
日本語があまりわからない父親から教えてもらえと?
僕はハングル語が全くわからないのに?
そもそも、父親とはほとんど口を聞かない
最後に話したのはいつだっけ?
「お母さんは?」
首を横に振る
母は、祖父が隠していた借金に追われている
金融会社から借りたのではなく、
個人として借りてしまったから、遺産相続を破棄できない
最近では、仕事のストレスを僕に対して、
殴ると言う形で発散している、
そんな母から教われと?
《こんな家庭で誰に教われと?》
もう、誰かと遊んだ記憶がない
遠い昔のようだ
頬から涙が溢れる
「泣いても無駄なんだよ!」
先生が怒鳴った
首を縦に振る
こんな生活が、もう、1年続いている
辛い、悲しい、悔しい、寂しい、
誰か、助けて欲しい
誰か、救って欲しい
誰か、そばにいて欲しい
どんな時でも、僕の味方でいてくれる
誰かが欲しい
「いい加減にしろ!ずっと首しか振らねぇじゃねぇか!私を舐めてんのか!」
何もできない、
何も変わらない、
これでも、必死に勉強しているんだけどな…
毎日、毎日、埋められない宿題と睨めっこ
しているのにな…
何もかもが、変わってしまった
「おい‼︎‼︎」
《僕は…………考えるのを辞めた》
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