第11話 たった1日の夏休み

夏休みに入った


私は、夏休みの宿題を1日目に終わらせた、とういうより、無理矢理やらされた


お母さんが言った


「この夏休み、ピアノのお稽古をしてもらうわよ!遊んでいる暇なんて、あなたには無いの!」


「でも、お母さん、私もみんなみたいに、遊びたいよ、」


「何ですって!」


「っん!」 


私は恐怖していた、《また、叩かれる》


「わかりました……」


(叩かれるのは嫌だから)、そんな理由で私は今日もピアノを弾く


「みんなは今頃プールに行ったり、花火大会に行ったり、何も無い日は友達どうし、遊んでいるのかな?…」


そんな、考えても無意味な妄想をしながら、ピアノを弾く


「ピシッー」


「いた!…」


「音がずれたわよ!はい!やり直し!」


「……はい」


窓の外から、子供達が遊んでいる、楽しそうな声がする


でも、自分は家に引きこもり、ピアノの稽古をしている


「いいな~、私も混ざりたいな」


夏休みが明けると、引っ越す予定でいる、


お母さんと、私の?お父さんが同居することになった、


確か…仕事が一段落したから、一緒に住むことになったんだっけ?


「自分勝手だ…」


◆◇◆◇◆◇


夏休みも、終盤に差しかかった、ある日お母さんから、信じられない一言を私に浴びせた


「今日は、自由にしいいわよ」


嬉しかった!


私はすぐに靴を履き、外に飛び出した


先程、窓を眺めていたら、隣の席の宗善くんの姿が見えたからだ!


私は、彼が遊んでいる公園に走った!


彼を目の前にして、私は…


「遊ぼ!」


《産まれて初めて誰かと遊ぶ》


(おや?)


彼からの返事がない!なんでだろう?

聞こえなかったのかな?


「うん!」


少しタイムラグがあったが、彼からの返事が返って来た


(嬉しい!)


「何して遊ぶ?」


彼からの質問がきた


「なんでもいいよ!」


私は、曖昧な返事で返した

どんな遊びをするか、なんでもよかった

どんな遊びでも、全力で楽しむと決めていたからだ!


彼が提案した


それは、1人がブランコに乗り、もう1人はその周りをブランコに揺れている、相手に当たらないように回るといったゲームだった、


簡単そうに見えるけど、当たったら怪我するな!と思いつつ


「うん、いいよ!」


私は賛同した


まずは、最初に彼がブランコを漕ぎたわしが周りを10周回る、


1週目、2週目、3週目、


(うん、順調だ、意外と平気なのかも)


8週目にして、《タイミングを読み違えた》


彼の足に当たりそうになった!

しかし、私はそれを、間一髪でかわしたのだ


(やった、うまくかわした。危なかった~)


安心するのは早かった…


前日に雨が降っていたようで、彼の靴の裏に付いていた泥が、私の顔に当たった!


「っ!!」


私は、すぐに公園の水洗い場に行き、顔を洗った


「大丈夫かな?目に入っていないかな?」


不幸中の幸いだ、泥が目に入っていなかった口の中にも入ってなく、飲み込むこともなかった…


私は、ハンカチで顔を拭き、彼の元に戻った


私がうまく避けていれば、こんなことにはならなかったのにな…


自分を責める必要がないのに、無意識に自分を自分で責める、


《涙が出そうだ》


「彼に謝らなくっちゃ!じゃないと」


《叩かれるの》


「っ‼︎‼︎」


(なんだ?今のは?彼とお母さんは関係ないじゃないか!なんで彼に叩かれる想像を…)


怖くなった…


「また、叩かれるのかな?」


彼の顔を見た、すると


《彼が泣いていたのだ》


私は、理解した


彼も私と同じ、自分を責めてしまっていることに…


《悪いのは、私なのに…》


私は、手に持っていたハンカチで彼の涙を拭きとった


《誰かに優しくするって、こんなに温かいことなんだな》


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