第2話 プライドの塊
「うわー!なにこれ?!」
それは、ひな祭りのお祝いとして、その日の給食のデザートがやけに豪華だったことだ。
クラス一同興奮していた。見慣れない飴細工や、金平糖など、日本では、特別な日に食べるお菓子が山のように並べられていた。
僕には、仲が良かった女の子がいた。
その子と僕はお互いに口に含んでいたカラフルな飴を舌に乗せ、自慢げに見せ合いっこをしていた。
お互い机の位置が対称になっており、背を向け合った状態だ。
だから、振り返り飴を自慢していた。
平和だ
〈そんなわけないだろ!〉
一瞬で楽しい時間が吹き飛んだ。
自慢げに飴を見せ合いをしていたら、真ん中を通ったもう1人の女の子が倒れた。
「僕じゃない...」
確かに僕じゃない。いくら5歳児といえど足に何か引っかかったら、ましてや、同じ歳の子が躓いたら、流石にわかる。
「僕じゃない!僕じゃない!、そうだ、きっと飴を見せ合っていた子の足に躓いたんだ!。」
そう思ったがしかし、女の武器というのはなんでこう~、ズルいんだ!
飴を見せ合ってた子は泣いていた。
「ごめんなさい」
すぐにその一言を発した
「そう、それでいい!引っかかったのは
君の足なんだから、僕が謝る必要はない!」
数十秒ほど、経過したら、園長先生が来た、倒れた子は、まるで痛みを感じていないかのように、立ち上がり、その頬は濡れていなかった。
「ねぇ、皆!何があったの?」
園長先生が皆に尋ねた。
「飴を見せ合ってたら、足が引っかかって転んだんです。」
と、答えた。しかし、一部始終を傍観していた、他の女の子、が割って入って、
「真田くんの足に引っかかって転ぶところを見ました!」
「ん?真田?真田くんって事は君が足を前に出してそれに引っかかったってこと?」
園長先生が僕を見た。
一瞬間が空いて
「え?、なんで?僕じゃないよ。引っかかったのは、飴を見せ合ってた、その子の足だよ!」
反論した。というか事実だ!
さらに余計な一言を発した、耳を疑った。
「だってその、子泣いてるじゃん!」
「え?、泣いてるから?なにそれ?」
ありえない、そんな理由で僕に責任を押し付けようとするのか?バカなやつだ!
そう思った矢先、園長先生が、
「あなたがやったんですね」
嘘だ、そんなわけのわからない主張で、
「引っかかったのは僕の足じゃない!その子の足!」
必死に抵抗した。
「嘘つかないで!本当は?」
園長先生がそう言った。
(嘘つかないで!本当は?)
なんだ?この意味のわからない質疑応答は、嘘をつくな!本当は?ってそれw
確実に僕のせいって決めつけてきた!
瞳には涙が出てきた。
「なんで?僕じゃないのに」
お迎えの時間に母が来た、僕は放心状態だった。
母が頭を下げたような動作で何やら園長先生と話している。
申し訳なさそうに、転んだ子と足を引っかけた子に何度も、何度も、何度も
「僕のせいなのか?僕が意地張ったからなのか? だから、母が下げなくていい頭を下げているのか? 僕が認めてあげればよかったのか? 僕も泣けばよかったのかな? 何でだろ?楽しい1日になるはずだったのに。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
皆さんは、人間の性格がどんなふうに、出来上がると思いますか?
家庭環境が裕福だからでしょうか?
家がお金持ちだと心に余裕が持てるのでしょうか?
親が優しいからどんな事をしても味方になってくれる。自信がつくのでしょうか?
僕は、多分ほとんど、いろんな条件下で当たりがあり、外れがあると思います。時と状況によるってやつです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます