続けるっていうのは使命感じゃないから

 義務で続けるくらいなら、止めた方がいい。そうやって止めるなら、本当にはやりたくなかったという事だ。始めた頃は意欲に満ち溢れていても、続けているうちに、その熱は冷めてしまう……そういう事だってあるのだから。


 それで、自分はまた諦めたと、自責の念に駆られても、誰もあなたを気にかけてはくれない。いや、気にかけてくれたとしても、あなたの代わりになってはくれない。だから、あなたがそこで感じているであろう葛藤を、気にかけてくれる他者に押し付ける訳にはいかないのだ。


 故に使命感ではなく、続ける事こそが重要なのだ。意欲が失われても、言われも無い中傷を受けても、褒められた後に無関心を装う姿を目にしても、それはあなたではなくて、あなたの意欲ではなくて、あなたの行為でもないのだから。だから、継続の為には不足している条件という事だ。


 僕がここで文章を連ねているのは、使命感でもなければ、承認欲求を満たす為でもない。ただ、ここに自分が生きているという実感を、内蔵諸機関が正常に働いているという事とは別の方法で感じてみたかっただけなのだ。それだけだ。その為には、承認欲求など必要ではない。もっと言えば、誰にもこれを気に留められなくとも、これを止める意味はそこには生じないという事だ。だから、例えば、僕以外の全ての人間が滅亡したとしても、それでも僕は文章を書き連ねるだろう。それは血液の巡りであって、呼吸の働きであって、それを止められるのは、最早自分ですらないのだと。

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