またやってしまった

 こんな時間になるまで起きてしまった! 朝日が昇ってきている。やってしまったのだ。悪魔が僕に囁いていることにして、僕は何も反省の意志を示さずに生きていくこともできるが、そんなのはごめんだ。悪魔のせいになんてしちゃいけない。僕は、まだ僕を生きていけるのだから。誰も自分に何も言わなくても、それでも、ここに書き連ねている限りは。


 そんな風に張り切っているから、続けられている訳ではないのだ。むしろ、僕は僕の文章を読んで生じたかもしれない傷を想って、悲しみにくれているのだ。いや、そこまでではない。ただ、そこには僕ではない生命があって、それを損なわせているかもしれないと思うと、それでも書き連ねるのは反社会的な行為なのではないか……そう推測しているだけだ。法に抵触する程に悪意があるなら、とっくに消えているはずなのに!


 そうやって、安堵を得ようとして、失敗するばかりだ。それもこれも全て眠らなかったせいだ。いや、昨日はよく眠っていたのだ。夜も寝て、朝も寝て、昼も寝て、夕方も寝たのだ。随分と眠気があった。やるべきことはほとんど終わらせられなかった。まあいい。どうせ、僕というのはそんな人間なのだ。それでいいだろう。そうやって受容していくしかない。これから後何十年と、僕という存在と向き合っていかなければならないのだから。なんだこの馬鹿クソたれがー!!!!!(地獄から湧き上がってきているのに、僕の憤怒)


 そんなことできるか! できてたまるか!! みんなできているフリをしているだけじゃないか!!! 人と繋がるって銘打たれたSNSだって、エコーチェンバーを市井の人に広めただけなのに!!!! それでも自分に向き合えっていうのか。世の中の人達は和解を放棄して、考えが違うだけの他人を嘲笑って、それなのに自分を正しいと思い込みながら生きている人ばっかりじゃないか!!!!! 自分の正しい思想の為に、他者が間違っていなければならないのなら、自分なんてのも思想なんてのも本当は、微塵も正しくなかったってことじゃないか!!!!!!


 だから、そんなこと全部なかったことになって、全部僕のせいになればよかったのに。悪魔に罪を着せるように、全部僕のせいにしてしまえるのなら、それで世の中は平和になったはずなのに。それを誰かが悪いというんだ。誰かがそれを嘲笑うのだ。僕は真剣だ。またやってしまったと、そんな風には思っていない。後悔など微塵もない。僕はただ、あどけない子供のように、空に願いを託しているだけなのだ。

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