破:そして時刻は午後三時過ぎ
そして時刻は午後三時過ぎ、刑事の“
「いらっしゃいませでヤンス!」
ヤスの元気な声に少々驚きながらも、オッドアイ少女は震える声で答える。
「お願い……パパを探して……」
その声には嘘や冗談には聞こえない、真に迫ったものがあった。ヤスは久々の大物の予感に思わず舌なめずりをして立ち上がる。
「ククク……それじゃあ、詳しく話してもらおうかァ?」
「ひっ!」
オッドアイ少女は、テツのギラつく瞳とあまりの気迫に恐怖する。
「あ、あの……えっと……」
「コラッ!依頼人が怖がってるでヤンスよ!」
すかさずヤスが間に入る。
「大丈夫でヤンス。店長はあんな顔でヤンスが、怖い人じゃないんでヤンス。ささ、こちらのお席にどうぞでヤンス」
ヤスはニコニコしながらオッドアイ少女をテーブル席に案内する。
「は、はい……」
怖い人じゃないと言われても、やはり怖いものは怖いのだ。オッドアイ少女はビクつきながら席につく。
「さて、それじゃあ詳しい話を聞かせて貰う前に……。嬢ちゃん、腹減ってねえか?」
「え?」
いきなりの質問にあっけにとられるオッドアイ少女。だが、
ぐううううううううううううう……。
言葉より先にお腹が元気よく返事をした。
「ククク……!それだけ腹が減ってりゃ気も滅入るってもんだ。それじゃ、まずは食いたいラーメンを選んでもらおうか」
「ラーメン、ですか?」
「そうだ。おい、ヤス、メニューだ」
「ハイでヤンス!」
ヤスは元気よく返事をすると、どこからともなく分厚いメニューを取り出してオッドアイ少女の前に置く。まるで辞書だ。
「え?これ、全部ラーメンの……」
「ああ、古今東西、ラーメンと名のつくものならなんでもある。古式中華そばから最新のバイオ蛋白ヌードルまで。さあ、選びな」
オッドアイ少女は写真満載のメニューを開く。と言っても全てのメニューに目を通すわけには行かず、パラパラと気まぐれにページを捲っていくのだが……ふと、1つのラーメンに強烈に心が惹かれ、ページを捲る手が止まった。今すぐに食べるならコレしかないと言わんばかりの衝動が、オッドアイ少女の心を貫いたのだ。
「あの、これを……」
オッドアイ少女が指差したのは、白濁としたスープに細い麺が特徴的な、あのラーメンだ。食べたこともないラーメンだったが、何故か気がつくとその名を口にしていた。
「この、“とんこつラーメン”を……」
「ハイ!とんこつ一丁でヤンス!」
ヤスの元気な復唱が店内に響き渡る。
「とんこつラーメンと来たか……」
テツは思案する。
(とんこつラーメンは完成されたラーメンだ。同時に未完成のラーメンでもある。今回の事件、どう化けるか全く読めなくなってきた)
「ククク、おもしれえじゃねえか……」
テツは空中に浮かぶ電子ディスプレイに手早くメモを取ると、そのままフリックしてヤスに投げ渡す。
「ここに書いたもん全部用意しておけ」
「ハイでヤンス!」
ヤスは店の奥の倉庫に消える。
古今東西ありとあらゆるラーメンを1店舗で提供することは可能なのか?ある程度大きな規模のチェーン店であれば不可能ではないだろう。だが、ここは町外れの裏路地にある個人経営のラーメン屋だ。そんなことできるわけがない。……21世紀だったならば。
ヤスは店の奥にあるエレベーターで地下に下りた。そこには無数の小型コールドスリープ装置が並んでいる。
「えーっと、豚骨スープに細ストレート麺が4玉……あとは小ねぎとチャーシューに紅生姜とそれから……」
時は3XXX年くらい。高度に発達した科学は料理品の鮮度を完全に保つコールドスリープ装置を完成させていた。無論、冷凍焼けなどせず、解凍すれば時を超えて新鮮な食材が復活する。
とはいえ、コールドスリープ装置安いものではない。なにより、いくら長期保存できるとはいえ、殆どの食材はテツの作り置きだ。並の情熱ではここまで数多の食材を備蓄しておくことなどできない。保管コストと手間と売れ行きを考えれば赤字必須だ。狂気の沙汰と言ってもいいだろう。
しかし、テツには狂気の源たる欲望があった。たった一つの理由のために、ラーメン倉庫を作り上げたのだ。その理由はおいおい語るとして、どうやらヤスが一通り食材を目覚めさせたらしい。
「持ってきたでヤンス!」
ヤスが食材をカートに満載して店内に戻ってきた。
「よし、それじゃあおっ始めるかァ!!」
テツは麺を茹でる大鍋からお湯をすくってラーメンどんぶりに注ぎ、軽く回してすぐにお湯を捨てる。こうすることでどんぶりが温まり急激な冷めを防ぐのだ。その後、すぐさま麺を1玉茹で始める。
細麺は茹で上がりが早いが、その間に丼を整える手際の良さはある。豚骨と野菜を10時間以上煮込んだスープは万全の温度でコールドスリープから目覚めている。まずは丼に特性のかえし《タレ》を入れ、そこにスープを注いで土台を固める。
テツはすぐさま茹で上がった麺を大鍋から回収して湯切りを行い、受け入れ体制万全の丼に滑り込ませる。さらに具材を載せていく。極薄切りの脂身が多い三枚肉を丸めたチャーシュー1枚と、散らす程度の小ねぎ。麺の荒野めいた殺風景どんぶりが、たったこれだけの具材で彩りを携え、これにより一品料理として完成する。
「とんこつラーメン上がり!」
「とんこつラーメンおまちでヤンス!」
ヤスがテーブルにとんこつラーメンを運ぶ。
「トッピングはお好みでお願いするヤンス!」
すりおろしニンニク、すりおろし生姜、刻みニンニク、刻み生姜、紅生姜、海苔、きくらげ、もやし、高菜、明太子、粗挽きコショウ、粉末コショウ、酢、辛味噌、ラー油、マー油……いつのまにかテーブル上には多くの薬味が広げられていた。
「え、あ、あの……」
オッドアイ少女は少々戸惑った。出されたものが多すぎて、何をどうすればいいのかわからなくなったのだ。
「好きに食え。食いたいようにな。ただ、助けてほしいパパの話をしながら頼むぜ?」
テツの声にオッドアイ少女は思い出す。胡散臭い噂だったが、ここにすがるしかないと思ってやってきた怪しいラーメン屋に、行方不明になった父親の捜索を依頼しようとしていたことを。
「……はい」
オッドアイ少女は割り箸を手に取り、勢いよく割ると豚骨ラーメンと対峙した。
「パパは出張に行っていて、昨日帰ってくるはずだったんです」
細い麺をつまみ上げてフーフーと冷まし、一気に啜り込む。
ズゾゾゾゾッ!!
濃厚な豚骨の旨味が口いっぱいに広がる。同時に、なにか物足りなさを感じる。しかし空腹には抗えず、続いて二口目も啜り込む。
ズゾゾゾゾッ!!
二口目を咀嚼して気がつく。この物足りなさは、物足りなさではなく、豚骨の味が全面に出すぎている強みだと。
「パパはノダ製麺で働いている職人なんですけど、出張で地方の麺を取材しに行くって言って、昨日帰ってくるはずだったんです」
話しながらすりおろしニンニクと粗挽きコショウを少々加え、なじませるように軽く箸で溶かしてから麺を啜る。
ズゾゾゾゾッ!!
「!!」
オッドアイ少女が目を見開き、レンゲでスープを一口飲む。先程まで強すぎると感じていた豚骨のクセが、ニンニクの甘みとコショウの香りで程よく抑えられ、最初よりも鮮烈な、かつ、くどすぎない味わいが広がったのだ。
「ん?ノダ製麺だと?」
テツが反応するが、オッドアイ少女は一心不乱に麺を啜り続ける。
ズゾゾゾゾッ!!
ズゾゾゾゾッ!!
ズゾゾゾゾッ!!
……いくらか食べて落ち着いたのか、オッドアイ少女は再び口を開いた。
「はい。ノダ製麺で毎日ずっと麺を作っていました。小さな工場だけど、やりがいがある仕事だって言って……」
オッドアイ少女は大口を開けてチャーシューを一気に放り込むと、じっくりと噛み締めて旨味を味わい、飲み込むと同時に更に麺を啜る。
ズゾゾゾゾッ!!
「そりゃあ、俺にとっても一大事だな……」
テツは意味深につぶやくが、オッドアイ少女はそんなことお構いなしにひたすらスープと麺を口に運びながら話す。
ズゾゾゾゾッ!!
「パパは仕事に没頭する人だったけど……」
ズゾゾゾゾッ!!
「毎日必ず帰ってきてくれた……」
ズゾゾゾゾッ!!
「そんなパパが何も言わずに帰ってこないなんて……」
ズゾゾゾゾッ!!
「何かあったと思うんです」
ズゾゾゾゾッ!!
「ふう……」
ひとしきり麺を食べきったオッドアイ少女だったが、その目と口はまだ語り(食べ)足りないようだ。
「替え玉硬め青ネギ追加」
「ハイ!替え玉硬め青ネギ追加でヤンスね!」
「え!?」
オッドアイ少女は自分の発した言葉に驚いた。全く知らない言葉が、いつの間にか口から出ていたのだ。
「はいよ。替え玉硬め青ネギ追加」
テツは替え玉の注文が来ることを分かっていたかのように手際よく麺を茹でる。硬めの茹で上がりは早い。すぐに替え玉と大盛りの小ねぎがテーブルに運ばれた。
「替え玉硬め青ネギ追加おまちでヤンス!」
オッドアイ少女は、ヤスの言葉に返事もせずに替え玉をどんぶりに入れ、さらに大盛りの小ねぎを乗せ、割り箸で軽くなじませてから啜り込む。
ズゾゾゾゾッ!!
過剰かと思われた小ネギだが、替え玉ともなると味が変わることで爽やかさが加わりスムーズに食べられる。硬めに茹で上げた麺は咀嚼数が増え、啜り込んだ小ネギを噛みしめる回数も増えることで最初とは異なった味わいが広がる。
「そういえば、パパは新しい製麺所ができるとか言っていました」
ズゾゾゾゾッ!!
小ネギの絡んだ麺を啜り、スープと交互に口に運ぶ。
ズゾゾゾゾッ!!
「それで、近々その製麺所で所長になるんだー、とか言ってたような……」
オッドアイ少女は麺を啜る手を止め、少々の紅生姜を丼に追加する。スープに酸味が広がると同時に、麺に絡まった紅生姜はさらなる爽快感をもたらす起爆剤だ。
ズゾゾゾゾッ!!
ズゾゾゾゾッ!!
ズゾゾゾゾッ!!
ズゾゾゾゾッ!!
紅生姜の絡んだ麺を一気に啜りながら、少女は何かを思い出す。
「あ!もしかしたら……いや、でも……」
……思い出しかけたが、確信が無いのか、言葉に詰まる。
ズゾゾゾゾッ!!
「ふう……」
替え玉も食べきり、ひとしきりお腹が満足したオッドアイ少女は箸を置いた。スープはまだ半分くらい残っている。
「それで話は終わりか……?」
「はい……ぎゃああああ!!」
オッドアイ少女はテツの方を見て思わず悲鳴を上げる。テツは震える体を抑え込むように歯を食いしばり、血走った瞳でオッドアイ少女の方を凝視していたのだ。
「いつものことだから心配ないでヤンス」
「あ……え……?」
震えるオッドアイ少女をどうにかなだめるヤス。
「それで話は終わりかと……聞いているのだ!!」
「はいいいいいい!!終わりですううううう!!」
テツのあまりの気迫に泣きそうになりながら答えるオッドアイ少女!
「よぉし……」
テツは抑えきれぬ食欲をどうにか抑えて歩き出す。目指すはオッドアイ少女が座っていたテーブル席だ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!
テツの腹の音が静寂の店内に響き渡る。オッドアイ少女がラーメンを食べる姿を見て、もはやテツの腹は限界だった。
「どいてくださいでヤンス!」
「え?ぎゃあ!」
ヤスの声に反応すると同時に、自分の方に向かってユラユラと歩みを進めるテツが目に入り、明らかにヤバイ雰囲気を感じ取ったオッドアイ少女は二秒で席を開けた。
「フヘヘ……」
テツは白目を剥きながらオッドアイ少女が座っていた座席に座る。そして、オッドアイ少女と全く同じ注文をした。
「この、とんこつラーメンを……」
「ハイ!とんこつ一丁でヤンス!」
ヤスの元気な復唱が店内に響き渡ると同時に、いつの間にか厨房で準備をしていたヤスが調理を開始した。
ヤスは麺を茹でる大鍋からお湯をすくってラーメンどんぶりに注ぎ、軽く回してすぐにお湯を捨てる。こうすることでどんぶりが温まり急激な冷めを防ぐのだ。どの語、すぐさま麺を1玉茹で始める。
細麺は茹で上がりが早いが、その間に丼を整える手際の良さはある。豚骨と野菜を10時間以上煮込んだスープは万全の温度でコールドスリープから目覚めている。まずは丼に特性のかえし《タレ》を入れ、そこにスープを注いで土台を固める。
ヤスはそのまま茹で上がった麺を大鍋から回収して湯切りを行い、受け入れ体制万全の丼に滑り込ませる。さらに具材を載せていく。極薄切りの脂身が多い三枚肉を丸めたチャーシュー1枚と、散らす程度の小ねぎ。麺の荒野めいた殺風景どんぶりが、たったこれだけの具材で彩りを携え、これにより一品料理として完成する。
「とんこつラーメン上がりでヤンス!おまちでヤンス!」
ヤスがテーブルにとんこつラーメンを運ぶ。
「トッピングはお好みでお願いするヤンス!」
すりおろしニンニク、すりおろし生姜、刻みニンニク、刻み生姜、紅生姜、海苔、きくらげ、もやし、高菜、明太子、粗挽きコショウ、粉末コショウ、酢、辛味噌、ラー油、マー油……先ほどまでテーブル上に広げられていた多くの薬味はそのまま鎮座している。
「……」
テツは少々戸惑った。オッドアイ少女が戸惑ったのと寸分違わず、同じ時間ためらった。
「……はい!」
テツは割り箸を手に取り、勢いよく割ると豚骨ラーメンと対峙した。
「パパは出張に行っていて、昨日帰ってくるはずだったんです」
テツは白目を剥いたまま、オッドアイ少女と同じ言葉を発しながら細い麺をつまみ上げてフーフーと冷まし、一気に啜り込む。
ズゾゾゾゾッ!!
はるか昔、インターネットが発明された頃から、あるいはそれ以前から、極度の集中状態において、シナプスが見せる電気信号は個人の脳を超え、見えないものを見せてきた。
ズゾゾゾゾッ!!
時は3XXX年くらい。有象無象のネットワークと100G回線の電波が世界を覆い尽くす電波特区の首都圏では、極度集中によって不可思議な“
「パパはノダ製麺で働いている職人なんですけど、出張で地方の麺を取材しに行くって言って、昨日帰ってくるはずだったんです」
テツは白目を剥いたまま、オッドアイ少女と同じ言葉を発し、すりおろしニンニクとあらびきのコショウを少々加え、なじませるように軽く箸で溶かしてから麺を啜る。
ズゾゾゾゾッ!!
“
ズゾゾゾゾッ!!
テツにとっての“
ズゾゾゾゾッ!!
テツは、ラーメンを食べた者の挙動を血眼で観察し、その食べ方をトレースすることで“
ズゾゾゾゾッ!!
テツは白目を剥いたまま、ラーメンを啜り続ける。
「はい。ノダ製麺で毎日ずっと麺を作っていました。小さな工場だけど、やりがいがある仕事だって言って……」
テツは白目を剥いたまま、オッドアイ少女と同じように大口を開けてチャーシューを一気に放り込むと、じっくりと噛み締めて旨味を味わい、飲み込むと同時に更に麺を啜る。
ズゾゾゾゾッ!!
ズゾゾゾゾッ!!
「パパは仕事に没頭する人だったけど……」
ズゾゾゾゾッ!!
「毎日必ず帰ってきてくれた……」
ズゾゾゾゾッ!!
「そんなパパが何も言わずに帰ってこないなんて……」
ズゾゾゾゾッ!!
「何かあったと思うんです」
ズゾゾゾゾッ!!
「ふう……」
「替え玉硬め青ネギ追加」
「ハイ!替え玉硬め青ネギ追加でヤンスね!」
ヤスは替え玉の注文が来ることを分かっていたので手際よく麺を茹でる。硬めの茹で上がりは早い。すぐに替え玉と大盛りの小ねぎがテーブルに運ばれた。
「替え玉硬め青ネギ追加おまちでヤンス!」
テツは白目を剥いたまま、オッドアイ少女と同じように替え玉をどんぶりに入れ、さらに大盛りの小ねぎを乗せ、割り箸で軽くなじませてから啜り込む。
ズゾゾゾゾッ!!
「そういえば、パパは新しい製麺所ができるとか言っていました」
ズゾゾゾゾッ!!
ヤスの記憶トレースが現実のラーメンと重なって精神電脳空間の“
ズゾゾゾゾッ!!
「それで、近々その製麺所で所長になるんだー、とか言ってたような……」
テツは白目を剥いたまま、オッドアイ少女と同じように麺を啜る手を止め、少々の紅生姜を丼に追加する。スープに酸味が広がると同時に、麺に絡まった紅生姜はさらなる爽快感をもたらす起爆剤だ。
ズゾゾゾゾッ!!
テツはもやは無意識に近いトランス状況で、オッドアイ少女の言動をトレースしてラーメンを啜る。
ズゾゾゾゾッ!!
テツの精神はウェブに飛び、複雑に絡み合う
ズゾゾゾゾッ!!
膨大な情報量がテツのニューロンに流れ込む。テツはそれを麺の咀嚼速度で処理する。
ズゾゾゾゾッ!!
「あ!もしかしたら……いや、でも……」
少女自身ですら見逃している潜在記憶。テツは同じものを食べるという同調経験により、恐ろしいまでの再現度で過去の“
ズゾゾゾゾッ!!
「ふう……」
替え玉も食べきり、ひとしきりお腹が満足したテツは箸を置いた。スープはまだ半分くらい残っている。テツは深呼吸をする。ここからが本番だ。
「フゥー……」
テツの視界には、現実のスープと同じく、“
「……ダイブ!!」
怒号一閃!テツは“
“
「……っぷはあああああああ!!!!!」
テツがダイブから帰ってきた。現実世界にしてわずか数秒、だが、“
「ククク、美味いラーメンだったぜ。ごちそうさまァ……」
テツは汗だくの顔でニヤリと不気味な笑みを浮かべ、オッドアイ少女を睨む。
「ひっ!」
……実際は睨んだつもりは無かったのだが、どうして目付きの悪さでいつも恐れられてしまう。
「安心しな。
「え、それじゃあ……」
「ああ、今夜中にマキちゃんのパパは助ける。ノダ製麺には俺も世話になってるんだ。また明日から美味い麺を納品してもらわねえとな」
「え?なんで私の名前を……?」
「ん?ああ、すまねえが、調査中に視させてもらった。悪く思うな」
テツはサラリと言葉をかえし、ギラつく瞳でどこか遠くを見ながら立ち上がり、ヤスに指示を出す。もはや事件の全貌は“視”えた。あとは乗り込むのみだ。
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