魔王様育成日記~落ちこぼれテイマーの俺が獣耳魔王をテイムしてしまった

DEKO

第1話 魔王城へ

 この世界に生きる様々な種族はは10歳になる頃、神から職業を与えられる。


 最強とされる、勇者、賢者、魔法王、剣王etc…その数およそ100以上。最強とされる職業があるならば、勿論最弱とされる職業もあった。


 ――【テイマー】。


 彼等は、魔物や動物などをテイムして戦った。しかし、強すぎる魔物はテイムすることが出来ずに目の前にいる魔物に殺されていく。故に最弱。

人々は彼等を《無能》と蔑んだ。


 5年前、神から【テイマー】を与えられた俺ウィル=マクーリアは今、魔王と向かい合うという最悪な状況下に立っていた。


なぜこんな状況になっているのか説明するには数時間前に遡る。


 ――数時間前

 俺は勇者レインパーティーのみんなで5年かかってようやく見つけた魔王城へ攻め入っていた。


 「5年かけてようやく見つけた魔王城だ。皆気合い入れていくぞ」


と勇者レインは言った。それに続くように、魔法王のリーナ、剣王のガジル、聖女のマリンが声をそろえて


 「おうっ」


返した。すると、何かを思い出したかの様に


 「お前も荷物持ち頑張よ。ウィル」


とレインは笑いながら言った。それに続くように皆も笑っていた。勇者パーティが強くなり始めたころから俺は事あるごとに馬鹿にされるようになっていた。昔は皆優しかったのに……


 ――5年前


 今日、10歳になった俺は幼馴染であるレイン達と職業を授かるために教会に来ていた。


 「皆どんな職業をもらえるのかな」


 「ウィルならきっと強い職業もらえるよ。それで、俺達5人でパーティを組むんだ」


とレインが言うと、皆も


 「そうだよ」


と心配する俺を励ましてくれた。時間になり教会に入ると1人づつ始まった。レインからマリンまで終わりついに俺の番が来た。それまで、最強と言われる職業が4人も出て教会側は驚きとともに最後の俺にも期待していた。だが、測定が始まると空気が一変した。


 「こ、これは何ということだ。ウィル=マクーリア職業、テイマー」


 「テイマーだと」


教会中が騒がしくなった。テイマーってなんだろうと思った俺は、聞いた。


 「あ、あの、テイマーってなんですか」


 「テイマーとは、魔物や動物などをテイムして戦う。しかし、強すぎる魔物はテイムすることが出来ないんじゃ」


 「なるほど」


 この時の俺達は最弱だということを知らなかったのだ。

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