映画『砂場の海月』
浜辺に海月が落ちている
波に体を撫でさせて、砂の上に眠るよう
ぶよぶよとした体が震えていた
知っている
溺死は体が膨らみ見るも無残な姿だと
しかし海月はそのままだった
薄白の中に見える小さな赤線、短い手足
この海月は毒を持っている
触れば痺れ死ぬといふ
本当は
海に捨てられ、浜辺を墓標に
私はこれを死体だとおもう
心頭が海の向こうへ行けという
しかし足は砂で埋まり
指の隙間まで埋まっている
波は足首まで舐めてはくれるが
人間だから
重い体は攫われないし倒れない
私にも軽い体と毒があれば生きられた
無残に膨らみ打ち上げられた
こんなキレイにうちあげられて
海の滓と打ち上げられた
美しいままうちあげられて
ゴミのように打ち上げられた
ああ、海月がうちあげられて死んでいる
私は海月のように死にたかった
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