映画『或る日』

呆ける日

弾ける若鳥の声を聞きつつ

近くから遠くまで

響く声は生き生きと

ねえ、ねえ、きょうは

あてどない旅に出る帰る


老婦の語らう声を聞く

首を傾け聞き耳たてた

まくしたてるはなんてことない悩み事

あはは、あはは

だいじょうぶよ

おぼろげ不安に日々過ごす


白煙と臭いがみえている

老爺が煙草を燻らす

近くで一人、吸っていた

すう、ふう、すう、ふう

何処を見ながら息をして

何処かに白状しいるか


中年はぼんやりとしたなかで

生きていると思うている

だから風は吹くし、雨は降る

ひとりは相変わらずひとりであって

誰かと誰かは抱きしめた

日々をオブラートに包み込み


それを飲み込み咀嚼し呆けると

意識が揺らいで眠くなる

テレビの音が、暗い外が

朝日の為に沈んでく

聞こえてくるのは明日の声

明日も聞いては嗅いで空想しては

呆ける日

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