映画『蓋を返して』

心を無にすると楽になる

何も考えず 何も感じず

その場をやりすごす

死にゆく祖父に対して

ずっと無に尽くしてきた

痛いという声

持って帰る着替え

葬儀屋、役所、関係各所

金が足りぬ

実家の全てを売り払う

認知症の祖母を施設へ

無になると

誰も助けてくれない が

なくなる

機械になる

弄っていたアプリゲームが

突然、つまらないものになった

同情も、哀れみの声も

無になった

そのあと、怒声を聞いたが

覚えていない

なにかいってるなあ、と無

無が解き放たれた

映像と後悔と何か言っていた人

祖父、顔がぐにゃりと曲がる

もう、無に帰れない

無という蓋を返して

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