第72話 聖女スキル獲得
藤崎さんと一緒にギャンブリーの街に向かう。
とりあえずは転移でヨーゼフさんの作業小屋の側へと移動した。
まだ藤崎さんはこの街の通行証を持っていないからだ。
ギャンブリーの街の入場門で入街証を五千ゴルで購入して、街へと入った。
「小栗さんありがとうございます。この後はどうすればいいんですか?」
「まずは仮入街証だと一週間で期限切れになっちゃいますから、冒険者ギルドで冒険者登録をするか、商業ギルドで商人として登録して、永続的な身分証を手に入れる必要があります。どっちがいいですか?」
「えーと、両方登録も出来るんですか?」
「ええ勿論です」
「じゃぁ両方お願いします」
「登録料は、商業ギルドが一万ゴルで冒険者ギルドが五千ゴルですけど構いませんか?」
「はい、日本円で小栗さんに返しても大丈夫ですか?」
「ええ、それで構いません。ほぼ円とゴルは同じレートですけど、金で支払えば今の所日本の方が安く買えると思いますよ」
「そうなんですね。でもとりあえずは日本円で二万円お支払いします」
そう言って来たので二万円を受け取った。
両ギルドでの登録を済ませると女神神殿へと向かった。
そこで俺は一つの事を思い出した。
(そう言えばすべてのスキルを手放す時は買い取ってくれるんじゃ無かったっけ?)
藤崎さんのスキルがユニークスキルだとすれば結構凄い値段になったりしないかな?
そう思ってスキル販売所に聞きに行ってみた。
「すいません。スキルの買取はここで良いんですか?」
「はい、手放される時はすべてのスキルを手放すことになりますけどよろしいでしょうか?」
「はい、俺じゃ無いんですけど、この女性のスキルを買取して欲しいのですが」
「それではスキルの査定をさせていただきますので、お告げカードを見せていただけますか?」
俺は藤崎さんにスキルが買い取ってもらえる事を説明して、使徒競争で負けて失うよりも全然得だから、売る事を勧めた。
「買ってもらえるんですか? じゃぁそれでお願いします」
藤崎さんがお告げカードを提出して査定をしてもらうと……
「あの? このスキルはユニークスキルですけど手放されてもいいのですか?」と聞かれた。
「はい、本人が望むスキルでは無かったようですのでお願いします」
「了解しました。ユニークスキルの買取額は五億ゴルになります」
その金額を藤崎さんに告げると「えええええええええええええ」
と大声が出た。
そりゃそうだろうな……俺でもちょっとビビった。
王都の神殿で十億ゴルで売ってるスキルだし、ちょっとはそんな気もしてたけど【バーサーカー】も同じ価値って、どんな使い道があるんだろ?
そう思って【バーサーカー】を鑑定してみた。
すると、思った以上に高性能な壊れスキルである事が判明する。
【バーサーカー】
戦闘状態になると、直接攻撃だけしか出来なくなる。
レベル一で攻撃力、体力、敏捷に千パーセントの補正。
「すげえな……」
これってレベル十まで育てたら、素の能力の百倍のステータスになるって事か、殴り合いなら今の俺でも余裕で負けそうだな……
そのうちオグリーヌから買うのもありかも? 俺だと非活性化も選択できるから使い所もありそうだし……
俺は最終確認で藤崎さんに聞いてみた。
「バーサーカーの性能凄いけど。手放してもいいんですか?」
そう言って能力の説明はしてみたけど「でも、どう考えても私の性格に合わないですよね? あんな血まみれになって戦うのなんて絶対嫌です」と返事が返ってきた。
結構楽しそうにゴブリンの虐殺してたけどな……とは思ったけど、それは言葉に出さなかった。
カウンターの使徒馬娘に「買取をお願いします」と告げると「現金とギルドカードへの入金のどちらになさいますか?」と聞かれた。
一応藤崎さんに確認すると「この国の通貨って貨幣ですよね? 五億ゴルなんて持ち歩くわけにもいかないのでギルドカードへの入金でお願いします」と当り前な返事が返って来たのでそう伝えた。
俺はカウンターの馬娘に確認をする。
「えーと一応確認ですが、ここでの買い物はギルドカードから直接払えますか?」
「はい大丈夫です」
それを藤崎さんに伝えると「何か便利なスキルを買っておいた方がいいんですか?」と聞かれた。
「そうですね、そう焦らなくてもいいですけど、知能スキルとかあれば言語習得とか早くなるしお勧めですよ」と伝えた。
Iランクの藤崎さんは二種類のスキルを身につける事が出来る。
「じゃぁ知能をレベル3にするのは四個必要なんですよね?」と聞かれたから「そうですね」と答える。
「とりあえず知能を四個お願いしますもう一種類は少し考えてから決めます」
と言われたので、その通りにお告げカードに登録して貰った。
「ホタルたちがどうなってるか心配ですからいったん合流しましょう」
「はい」
俺と藤崎さんが林の入口に転移で戻ると、銃声が響き渡っていた。
(派手にやってるなぁ)と思いながらホタルに電話をかけた。
『はい、先輩戻って来たんですか?』
『ああ、ランクは上がったかい』
『そうですね、夢幻さんと私が十匹ずつくらい倒したらIランクには上がりました。東雲さんはまだ上がって無いですね』
『解った、一度戻ってこないか? Iランクになったならスキルの習得はできるはずだし』
『わかりましたー。戻りますねー』
その場で待っていると五分程で三人が戻ってきた。
藤崎さんの五億ゴルの事は一応内緒にしておくことにした。
「さぁ、それじゃぁ早速【聖女】スキルを身につけてもらいましょうか。ホタルも覚えてくれるで良いんだよな?」
「しょうがないですね、でも内緒でお願いしますね皆さん」
他の三人も頷いたので、まずホタルに覚えてもらった。
「先輩、覚えました。でも、夢幻さんは無理だと思います……」
「ん? 女性のみだった?」
「違いますけど……あの……清い身体である事が条件でした。あー恥ずかしいじゃないですか!」
「まじか……それって凄い聞きにくい条件だな」
だが事態は意外な展開を見せる。
「小栗君! 大丈夫だよ。私はラノベを書きながら思ってたんだ。三十過ぎるまで守りきれば魔法が使えるかもしれないとね。可能性がある以上はそれくらい守れなければ、真のラノベ作家と言えないだろ?」
そんな事は無いけど……とは思ったが堂々とカミングアウトできる夢幻さんを少し尊敬した。
「ちなみに夢幻さんっていくつでしたっけ?」
「私は小栗君と同じ歳のはずだよ二十九歳だ」
「そうだったんですね……年上だと勝手に思ってました」
「ということで、条件はクリアできてるはずだからよろしく頼むよ」
結局、当初の予定通りに夢幻さんが【聖女】スキルを獲得したけど東雲さんが少し悔しそうな表情をしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます