予告!ー① Ver2.0『神人の間に生きる人間』
京都は、人間にとっての楽園だ。
だって人間が普通に暮らしているんだもの。人間が自分で自分の行動を決められる世の中、まさに日本の中で最も自由な国と言っていいだろう。
この国は、いや、この世界の本当の姿はそうじゃない。
京都の外は大いなる力を持つ神人が支配する。そして神人たちは互いの領地を守りながら、自分の正義を掲げて戦っているんだ。
彼らにとって、京都はあってはならない場所だ。なにせ、神人が完全なる人間の支配者、という前提を覆す忌々しい都市だからね。
だから滅ぼしたいのさ。
反逆軍を、御門家を、京都を。そして彼らを本当は守っている神の力を奪いたい。
●メインストーリー第2章 プロローグ 「淵下の裏京」
明奈に誘われて俺は夜に嵐山の入り口に立っていた。
レイは連れてきていない。明奈には連れて来るなと言われた。なんでも連れて来ると最悪覚醒させることになるかもしれないと。
さすがにそれはあまりにリスキーなので、レイには明奈のラボに待機してもらって映像を送っている。レイの近くには炎雀さんもいるので護衛の点は、これ以上望めないだろう。
「なりそこないはもうこの街にいる。なにせ君たちが出会う前から、もう活動を始めていたからね」
「え……マジ?」
「前に指摘されてたでしょ、これがあなたの指輪に似てるって」
そういえば……確かに。
「私、実はなりそこないと会ったことがあるのよ。当時は、そういう存在だって知らなかったけど、今思えば、彼女は」
「ええ! よく生きてたな……」
「まったく。今はそう思うわ。出会ったのが蒼で良かった」
嵐山の中。
突如俺の指輪が光を放つ。
「これは……?」
「当時私を導いてくれた彼女。彼女に隠れ家として案内された場所。其処は」
明奈は語る。
ここは当時、楽園と呼ばれていた。
テイルの発見と武力行使による終末戦争が起こった遥か昔、京の人間が最後の希望を元に集いできた街。
そして日ノ本を再生させる大儀式が行われた深淵である。
ここで幽世は生まれた。
藍色の炎と俺の煌炎がぶつかり合う。銀髪の少女だった。
「お前が鬼娘の巫女……。うん。最低ラインってところか」
強い。重い。俺が全力で炎を使って、意識を集中させて、全身に力をみなぎらせて、そんな戦い方をすれば1分でガス欠するくらいに燃やして。
そいつにようやく殺されないでいる。
「日本を滅ぼし、そして再生する。それが神の願いだ。お前には分からないのか?」
「そんなこと、はいそうですかって認められるか」
「俺たちなりそこないは、あの方の記憶を預かっている。弱いやつに真実を教える気はない。まずは俺の記憶を勝ち取ってみろ。それか死ね」
●サイドストーリー 「お前もアイドルにならないか?」
「東京で、人々に夢と希望を与える存在になっていただきたく、お迎えに上がりました」
買い物の最中でヤバいおじさんに話しかけられたと思ったら、とんでもないこと言い始めたぞ……。
「美しい金色、まるで太陽のようなあなた。人々に喜びを与えられるのはあなたしかいません。あなたの力で最高のステージを作り上げるのです!」
「嫌だ」
「ゑ? まあまあ。一つ落ち着きましょう。まずは目的を言わなければ私がただの怪しいオジサンになってしまう」
十分怪しい!
逃げるか……?
「もう少し詳しく知っていただければ、きっとあなたも、東京に行きたくなること間違いなし! さ、まずはお茶でもいかがですかな?」
逃げよう!
「え、ちょっと。お待ちください!」
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい! 追っかけてきてる!
ふと、姉貴から聞いたことがあることを思い出した。
『人攫いにもいろいろいるから気を付けないとね。私が聞いた中で一番ヤバい話だと、言葉巧みに京都の外に連れ出した後、最終的にえっちなお店に流されて娼婦にされた例だってあるんだから。知らない人の誘いには乗らない』
絶対アイツだろ!
てか全力で逃げてるのにまだ追っかけてくるし!
アイドルとか、嘘だぞ絶対。だって東京って今ヤバいところだって噂で聞くぞ。
逃げるんだ!
「わわわわたしーはぁあああ、あやしいものではあああああ、ございませんぅううううう!」
そして走り方がキモいアイツ! なんで四足歩行になるんだよ。で、なんでそんなに速いんだよ!
キャラクターストーリー 「炎の拳使い、天江昇と剣姫、歩季里」
子供が見つからないと嘆くお母さんを見かけ、俺とレイはもうすぐ夜になるからお母さんを林太郎と如月に任せて、その子供が向かったとされる場所へと赴く。
最近は人型悪霊の数が増えた。
そしてそれだけじゃない。式神と見間違えそうな幻獣型の悪霊も数を増やしてきてるし、悪霊と言えば、街の外の神人の連中が使う奴らもなんだか数を増やしてきている。
物騒な世の中になったものだ。
いつも遊び場にしている広場に着くと、そこには。
「人型悪霊!」
最近は敵を見た瞬間に剣を抜き襲い掛かる猪突猛進、殺意の高さが若干上がったレイが襲い掛かろうとするが、その悪霊は既に倒れて絶命していた。
泣いている子どもたちをあやしている女性が1人と怖がられている男が1人。なんとか1人の男の子をなつかせるのに成功していたようだ。
「あ、鬼の巫女!」
この前の事件のせいで俺も有名人だ。この子たちが鬼反対派じゃなさそうなのはトラブルが増えないで助かるよ。
「知り合い?」
怖がられていた男は、オールバックでまさにヤンキー……じゃないな、きっちりワイシャツと黒のスラックスを着こなしてるし、あ、まさか伝説上のヤクザって存在か……?
ヤバい人と出会ってしまったかもしれない。
「おお、あんた。ちょっと悪いんだけど」
「はい?」
「その子たちを連れていくのは任せる。俺は怖がられてるみたいでな。はぁ」
クスリと笑うもう1人の女性は、こっちに走ってくる子供を穏やかに見送っている。でも、優しそうな印象なのに妙だ。なんだか、向かい合うだけで鳥肌が立つ……。
「ねえ昇。せっかくだし。お願いしたら?」
「俺ら今何も報酬用意できないぞ?」
「街のこと、私たちよく知らないし。今後のこと考えたら、案内所に突撃するよりは賢いと思う。まずは見聞って言われたでしょ」
なんだか俺たちに街の案内をしてほしい……? てことはあの人たちって外の人ってことか?
だとすると、場合によっては敵かもしれない。京都の外から来たとなれば、そいつらは神人の可能性がある。そしてその目的は人間狩りであることが多い。
下手に断って戦いになっても分が悪いかもしれない。相手は2人だ。どうしよう……。
「なあ、俺たちの迷子なんだけど……、その、お家探すの手伝ってくれない?」
オールバックの男の主張に『馬鹿丸出し』ともう1人は呆れた。
でも俺たちはそんなことを言ってる場合じゃない。この先の動きが結構大事かも……。
メインストーリー第2章第1幕 「京都戦争編①:神の核へと至る鍵」
突如現れた巨大なビル。
なりそこないがいると噂されたビルの中で、圧倒的な力を持つ本当の意味での『神』人の支配に抗う戦いは始まった。
礼とレイもまた剣を掲げ、新たな敵を迎え、再び鬼をめぐる戦争は始まった。
敵は天城、伊達、伊東、京都を支配せんとするため、わざわざ本拠地を離れて京都まで侵攻しに来た神の配下たる神人たち。
そして『影』。あのドクロが所属した日ノ本で暗躍する暗部。
敵たちは集い、互いに互いと敵対しながらもその目は鬼に向いている。
鬼は日本を支配する力そのもの。ゆえに、手に入れたものが12家の戦いに終止符をうち真の支配者となることができる。
鬼の巫女と神人との戦いは始まった。
「久しぶり。如月、林太郎」
「お前……人間を裏切るのか?」
「悪いな。俺たちには倒さないといけない相手がいる。そのために今は負けられないんだ」
「明奈は渡さない」
「申し訳ないけど、あの人の遺し子は八十葉家が保護するの。邪魔はしないでもらえる?」
「高須、お前もそっち側か?」
「……」
「十二天将か……」
「私の相手をしたければ、せめて本家の人間を持ってくることです」
「我らが当主と釣り合うのは御門1人。お前のような雑魚を相手にするこの戦いで、神は動かんよ。わきまえるのだな」
******
その他
キャラクターストーリー 「倫世はもっとつよくなりたい」
キャラクターストーリー 「玄武は当主の顔と学生の顔がある」
キャラクターストーリー 「黒嬢と護衛の守里ちゃん」
サブストーリー 「姉貴は妹を可愛がりたい」
サブストーリー 「スイーツは女子のたしなみ(大門談)」
サブストーリー 「影のお姫様」
キャラクターストーリー 「高須君は女王に謁見する」
キャラクターストーリー 「大門編:第2幕 忌み子の真実」
など
******
「金色に煌く炎。それは本来こちら側の力だ。それを使えば、君は人間ではなくなるよ」
――は俺の体を貫いていた。
見える。レイが今の俺を見て激しい怒りと悲しみに満ちているのが。
「そうはなりたくないだろう。これは慈悲だと思ってほしい。それに、君が我らが姫様に釣り合うわけないだろう? 身の程知らずはここまでだ」
――鬼をめぐる戦いは始まる。記憶を探せ。そのために戦え。彼女の真実を明らかにし、望みを叶えるために――
(今回の予告は現時点でやる確証の高いものを掲載。予告編②で内容の変更があるかもしれません)
Ver2.0 「神人の間に生きる人間」10月17日より本格開幕!
2.0に至るまでの日常編と前日譚を9月26日より不定期連載!
Ver2.0予告②を10月12日に発表!
開発陣(1人より)
メインストーリー第1章は楽しんでいただけましたか?
我ながら結構本格的に話を書けたと思います。なにか熱い感情を抱いていただけていたなら、それだけで私はうれしいです。
さて、いよいよ第2章……といきたいところですが、クオリティアップのためにもうしばらく、連載の準備時間をいただきたいと思います。
皆さまを飽きさせないよう、より楽しい物語体験をしていくため、第1章を1年かけてやってきて得た気づきやノウハウを第2章に活かしていくため、大筋は決まってはいますが、ちゃんと話を練ってからお届けします。
もちろんその間ノータッチというわけではありません。ちょっとシリアスからは離れますが、書きたい短編を日常編と前日譚という立ち位置で、週2回を目標に不定期で投稿していく予定です。
あとは頂いた時間でバージョン1をゆっくり見直して改稿する時間、自分の記憶確認用ではありますが皆様にも見ていただけるバージョン1までの設定集等を作りたいと思ってます。そちらももしも投稿されたら覗いていただけると嬉しいです。
……そろそろ開発陣1人は厳しくなって来たなぁ……。まだ書きたい内容はいくらでもあるし、有償でもいいからお手伝いしてくれる人がいたらなぁ……とちょっと思ってるところですね。我こそは、と思ってくれている方はアピールしてください。(真に受けてもここの応援欄ではやめてください。近況ノートか私のTwitterの方で……)
では、今後も本作をよろしくお願いします! さらに面白くしていきますので。ぜったい!
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