第3話 飛び交う噂
翌朝、僕は目覚ましをかけた6時ぴったりに起き、顔を洗い朝食を食べ、学校に行く準備をしていた。
「ピンポーン♪」
すると突然インターホンが鳴った。僕は「こんな時間に配達か?いや、それにしても早すぎるな」と思いながら玄関に向かい、扉を開けた。
「どちら様でs……」
「俊おはよーう!体調はー……大丈夫そうだね!」
突然の訪問者は幼馴染の吹雪だった。それにしてもどうして……生徒会は?
「おはよー。今日は生徒会ないの?」
「ううん。本当はあったけど俊が心配だから休んで来たの!」
(吹雪は本当に優しいなぁ……僕なんかのために……吹雪が人気な理由が分かった気がする)
「そうなんだ。なんか心配かけてごめんね」
「全然大丈夫だよー!勝手に休んだの私だし。あ、そう言えば久しぶりに一緒に学校行こうよ!」
「うん。いいよ」
まさか吹雪から一緒に学校行こうと誘われると思っていなかったため僕は少し驚いた。
「じゃあ鞄取ってくるね」
「分かった!待ってる!」
そう言い僕は一旦家の中に戻り、急いで自室に鞄を取りに行って来た。
「ごめん、遅くなった」
待たせてしまったので一応謝った。
「全然大丈夫だよー!時間的に今からちょ〜ゆっくり歩いても間に合うから〜!」
それから僕たちは他愛も無い話をしながら学校に向かった。吹雪と一緒に登校するのは約1年ぶりで、学校で話すことも少ないから話が尽きることは無かった。まあ、吹雪となら毎日登校してても話尽きないと思うけど。
そんな楽しい時間を過ごし、学校に着いた。
「なんか、吹雪と話してるとあっという間だな」
「そう??」
「うん。吹雪とは話してて楽しいからさ」
「そうなの?なんか嬉しい〜!」
(吹雪って本当に可愛いよなぁ……)
そんなこんなで教室に着いてしまった。ちなみに吹雪は別のクラスの友達に呼ばれ、そちらに行ってしまった。
僕は自分の席に向かい……
「よう!豚ちゃぁん!元気そうでよかったよ。この前気失っちゃったからさぁ」
席に向かうところで茂たちと遭遇してしまった。ってか普通に考えて3人であんなに殴られたら気くらい失うだろ。
「まあ、そんなことはどうでもいい。俺が聞きたいのはお前みたいな豚がなーんで吹雪ちゃんと登校してるんだ?」
「その、吹雪とは家が隣同士で……」
「ちっ。きもいんだよ。覚えておけよ」
そう吐き捨て茂たちはどこかに行ってしまった。
それから僕は自分の席に行き教科書などを机に入れてるところで……気づいた。
「はぁ……」
(これだから学校は嫌なんだよ)
僕の机の中に何かは分からないがベタベタな液体が塗られていた。恐らくやったのは茂たちだろう。いつもこのような陰湿な嫌がらせをしてくる。この前なんかは、靴に画鋲が入ってたこともあった。
僕は教科書と机の中を拭き、終わったところで漸く先生が来て、朝のホームルームが始まった。
それからは特に何も無く放課後になり僕は家に帰った。
――そして翌日
僕はいつも通り一人で登校し、教室に入って……そこでいつもの違う雰囲気を感じた。みんな僕を蔑むような目で見てきたり、僕が近くを通ると「汚豚こっち来んな」と言ってきたり、クラスの人みんなが僕を明らかに嫌っていると言った雰囲気だ。
僕は何も身に覚えが無く、なんでこんなにみんなに嫌われているのか気になるので前の席の女子の高田さんに聞いてみることにした。高田さんは大人しめの女子で何度か話したことある。
「ね、ねえ高田さん。なんでこんなクラスの雰囲気悪いか分かる?」
「は、話しかけないで!!」
そう言い高田さんは少し机を前にずらしてしまった。
(本当になんなんだよもう……)
僕は何故こんな風になってしまったのか分からず困っていると……学校一の美少女――吹雪が僕の席に向かって来た。
「ねえ俊」
「な、なに?」
吹雪は少し焦った様子で僕に話しかけてきた。
「俊って女子更衣室に忍び込んだり、盗撮したりした?」
吹雪がそんな質問をしてきた。そこで僕は全てを察した。恐らくクラスの人が僕を蔑んだ目で見たり、悪口を小声で言ってきたりするのは誰かが……とは言っても予想はついているが、僕の悪い噂を流しているのだろう。
「僕がそんなことするわけないじゃん」
「絶対に?」
「うん、絶対だ」
「だよねぇ。俊がそんなことする人じゃないって私は知ってるもん」
一応確認のため聞いてみることにした。
「ちなみになんで急にそんな質問を?」
「いやー、それがね。どこからか俊の悪い噂が流れてきてるんだよ。それで、本当かどうか気になって聞きに来たの」
「なるほどね。ま、まあ僕は絶対にそんな事しないから安心して欲しい」
「もちろん信じてるよ!」
もう僕の味方は吹雪だけでいいよ。そんなことを心のどこか奥底で思ってしまった。
「でも、誰が一体どうしてこんなことを……」
たぶん、僕と吹雪が関わっているのを良く思わなくて、こういう噂を流したのだろう。そんなことを吹雪に言えるはずもなく……
「本当に誰なんだろうね……でも、僕は大丈夫だから気にしなくていいよ」
もちろんただの強がりだ。実際は泣きそうなくらい悲しい、悔しい……だけど、吹雪に心配をかけたくないから。
「そう?でも噂は嘘だよってみんなに言っておくね」
「うん、ありがとう」
もう直ぐホームルームの時間なので吹雪はそう言い席に戻っていった。
それから1週間経ったが、噂は絶えることなく次々と悪い噂が飛び交った。次第に僕は学校にいるのが辛くなり休みがちになってしまった。
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読んでいただきありがとうございます。次話更新は火曜日を予定しております。
なかなか納得のいく物語が書けずに苦戦しております。。。
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