第二部 プロトコルの概要
第一章 プロトコルの目的と基本的な仕組み
第一部でみた通り、現在の学校の体制下で、深刻ないじめ事案に対処するためには、幾つかの問題点がある。
それらの問題点を踏まえた上で、対処方法を考えてみると、以下のようになるかと思う。
詳細は、また後程解説するとして、ここでは大まかな仕組みだけを解説する。
まず、都道府県の教育委員会に、専従のいじめ対策班を設置する。
彼らは、高度な調査能力と対人スキルを有し、心理学、教育学、少年法にも長けている。
そして、学校より上位の権限を付与されている。
担当者は、平時には学校と連携し、いじめ事案の情報収集、学校に対する指導、助言を行う。
同じく教育委員会にホットラインを設置する。相談窓口が、官民双方で既に存在しているので、そちらと連携しても新設でも構わない。
学校からの要請、生徒や保護者からの要請、或いは然るべき基準を満たした場合に、知事の命令によって、学校に赴き調査を行う。
学校はそれを拒否出来ない。
対処チームが学校内外での調査を行い、いじめの事実を認定する。
いじめの事実を、基準に従って正式に認定したうえで、処分を決定する。
ただし、加害者が事実を認め、誓約書にサインした場合は、処分は留保される。
調査終了後も、被害者、加害者双方にカウンセリングなどのアフターケアを行う。
大体、以上のようなプロセスを経て、いじめ事案を解決することになる。
そのための法整備も、予め必要となるだろう。
恐らく、導入は都道府県単位となるであろう。
もし、文部科学省主導で、全国規模で導入するとしたら、特別司法警察職員としてもいいかもしれない。その場合は、学校での犯罪を広範に扱うことになるだろう。警察とは縄張り争いになるかもしれない。
ここで、大切なことが一つある。
それは、このプロトコルの目的である。
このプロトコルの目的は、加害者を処罰することではない。
あくまでいじめをストップさせることが、このプロトコルの目的なのである。
その点を踏まえた上で、詳細に進んで頂きたいと思う。
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