1989

窓を半開きにした黒塗の車の中で、ルージュを引く君を見た。

ハイスピードで進んでいくそれは君の未来だった。

随分と髪の毛が短くなったんだね、駅に貼られた大きなポスターにつぶやく。

学校中のマドンナだった君がきらびやかな世界に染まることは誰もが納得できた。


君がメディアに消費されている様が、私はつらくてかなしいよ。

私がプレゼントしたピアスは、もう捨ててしまったかな。

もう少しはやく気づいていればよかったのにと笑われるだろうな。

誕生日おめでとう、たくさんの世界にあいされる君へ。

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