額縁に溶け込む
ベッドに横たわり左目から涙を流していたあの少女は、変色した窓枠から飛び降りた。
僕は正しく生きているのだろうか。明日も僕が僕でいられる保証はどこにもない。昔この世に生きていた無邪気な僕は、すでに僕という額縁から抜け落ちてしまっている。
あの日泣いていた少女の涙は僕の中に確実に染みを作っていたのに、だ。
少女はただ泣くだけだった。「カーテンが揺れるのをやめるまで、私は生きるわ。」黄ばんだガラス窓を見つめて。網戸は破れていた。
錆びて閉まらなくなった窓はアイボリーのカーテンを揺らし、彼女を生かし続ける。それは彼女にとって無意味で、望まないことだった。
僕は涙を流し微笑むだろう。裾の汚れたカーテンはもう揺れないのだから。
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