だれもしらない

終わりのないものを求めて映画を借りた。それは人の死なない、優しい映画だった。

画面の中の牧師が言う。「すべては許されるのです」「すべては神の御加護のもとに」

僕たちは流れるエンドロールを見ながら泣いた。

すべてが許されるわけではないと知っていたから。神さまが選り好みをして、信じるものにしか優しい眼差しを向けないことも。

僕たちは信じられないまま大人になった。1LDKの狭い部屋に置かれたちいさなベッドの中。数えきれないほど抱きしめ合った。何度も何度も愛を誓った。

それでも僕たち二人は終わりが来るのだと信じてやまない。それは一種の悪い宗教のようでもあった。

嬉しそうに君がスープを飲む姿や歌声、僕のつくった下手くそなオムライス。二人で買ったサイズの合わない銀色の輪。

泣きながら祈った。神さま、どうか。彼女には微笑んでくださいますように。

君にだけは、しあわせな結末が訪れますように。

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