第4話 危険な罠!?
ある日の事だった。
友達に誘われ飲みに出掛けた。
久しぶりな為、会話も盛り上がる中、そして、お開きになった後の事だった。
「あの…」
誰かが私を呼び止めた。
「はい?」
「やっぱり…」
「えっ?…あの…」
「あっ、すみません…以前街で、お見掛けして」
「…街…?」
その人は私に丁寧に説明をしてくれた。
どうやら谷口君と思われる異性と一緒にいる所に出会したみたいで……。
つまり、彼は若社長!?
「もうお帰りになるんですか?」
「はい」
「良かったら送りましょうか?」
「いいえ、大丈夫です!初対面と変わらない方と、そんな…」
「夜道は危険ですよ」
「いいえ。本当に大丈夫…」
ぐいっと腕を掴まれた。
「あ、あの!困り…」
「すみませーん」
背後から声を掛けられ振り向くと同時にぐいっと肩を抱き寄せられた。
《えっ?谷口君!?》
「彼女は接待の帰りなんですよ。彼女は部下の私が今から送るので、お構い無く。若社長さん」
「そうかぁ~。残念だなぁ~。それじゃ失礼するよ」
彼は去って行く。
「本当、油断も隙もあったもんじゃねぇな!あの若社長!つーか、俺が来なかったら、あんた…」
「…ごめん…ありがとう…助かった…」
「送ろうか?」
「平気。大丈夫」
「………………」
すると、谷口君はタクシーを拾ってくれた。
「送るから、この借り何かで返せ!」
「えっ!?」
「タクシー往復分!」
「往復分って…かなりの料金」
「そうかもな~。宜しくな!上司の夏川 理乃さん」
「こんな時ばっかり」
「事実だろ!?全く!世話のかかる上司だよなぁ~」
私達は車内で色々と話をしながら送ってもらう事にした。
ある日の事。
とある会社から声がかかった。
どうやら相手は若社長と思われる会社からだった。
「おいっ!気をつけろよ」
「谷口君?」
「向こからコンタクト取るって事は何か企んでると思うけど?」
「これはビジネスよ!」
「そうですよ!でも、ビジネスとはいえ相手はあの若社長なんだからな!甘くみていたら痛い目に遭う!その前に忠告してるんだよ!」
「心配性ね」
「前に無理矢理連れて行かれそうになったの誰だよ!」
「あれは…」
「とにかく気をつけて欲しい」
「…………………」
彼はただの後輩
それなのに
どうしてここまでして
私に言うのだろう?
恋人でもないのに
心配してくれてるのだろう?
考えたらキリがない
職場だけの関係なのに
どうして?
「すみません。今日は」
「いいえ」
『携帯番号渡すから連絡しろ!』
そう言われ、谷口君から番号を渡された。
『早目に連絡すれば難は逃れるはずだから!』
とは言われたもののタイミングはあるのだろうか?
『こっちから連絡入れておくから終わり次第じゃなくて早目に連絡!』
『カップルじゃないんだから連絡する必要ある?』
『心配して言ってんだよ!』
『はいはい。分かりました。連絡するわよ』
そんな会話をしていた私達。
そして………
「それじゃ私はこれで」
「まだまだ夜はこれからですよ」
「いや…私はこれで」
「そう言わないで付き合ってくれませんか?」
「えっ?いいえ…そんなつもりで来た訳じゃないので」
「夏川さんガード固いですね」
「そんなの…」
スッ
手を握られた。
「それだけ魅力的なあなただ。過去に何かあったんですか?」
「その話は今すべきですか?」
「いいえ。すみません。気を悪くしたなら謝ります。すみません」
「いいえ。それでは失礼致します。お疲れ様です」
「はい」
「………………」
「彼女は難しいようですね。しかし、逆に惹かれてしまう。夏川 理乃さん」
私は一先ず、着信履歴にあった谷口君に連絡をする事にした。
「もしもし。取り敢えず終わったから報告しておく。心配していると思って」
「おせーよ!」
「悪かったわね!連絡しないよりマシでしょう!?」
「はいはい。ごもっともですよ!で?」
「で?って何?別に何もないし!報告だけです!じゃあ!」
「…なあ」
「何?」
「いや…やっぱ良いわ!」
そう言うと谷口君は電話を切った。
「………………」
その後、谷口君とは別行動となり一緒に行動する事がなくなるのだった。
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