第3話 上司と部下

彼と出会い、数ヶ月。


仕事とプライベートが別の性格だと知り、私は年下のアイツに振り回されていた。


仕事の関係だったり、プライベートとなれば友達のような姉弟のような関係。


年下で予測不可能な行動をする為、先が詠めない分、私の心はおかしくなっていた。



用事で谷口君を連れて、外出中。



「ちょっと!待ちなさいよ!谷口 蒼真っ!」

「待てるわけないじゃないですか!?ていうか先輩が足遅いんでしょう?」

「悪かったですね!そりゃ、あなたみたいに若くないんで!」



クスクス笑う彼。



その時、背後から誰かがぶつかってきた。




「あっ!すみません大丈夫ですか?」

「は、はい。すみません。私こそボーッとしていて」

「夏川さん、大丈夫ですか?」



駆け寄る谷口君。



「う、うん」


「行きますよ。夏川さん」



そう言うと私の手を掴み、歩き出した。




「社長、どうかなさいましたか?」

「いや…」

「2人がどうかしたんですか?」

「2人って、どういう関係だと思いますか?」

「カップル?」


「そう見えるだろう?しかし、どうやら部下と上司と思わせる感じだったんだ」


「へぇ~。そうなんですね」

「彼女は仕事が出来るとみた」

「そうなんですね」





「さっき、ぶつかった方、誰だか分かります?」



谷口君が尋ねてきた。



「えっ?ううん」

「若社長です」

「えっ!?若社長?」

「俺と変わらない年齢だと思いますよ」

「そうなの!?」

「そうなんです」


「そうなんだ。ていうか…凄いね」

「まあ、父親のツテでだろうけど…結構遊んでいるって話なんですよね」

「へぇ~、そうなんだね」

「呑気に言ってないで狙われるかもしれないんですよ!」

「狙われるって…またまた~」




私はペシペシと、谷口君の腕を何度か軽く叩く。



ぐいっと手首を掴まれた。



ドキッ



「甘く見んな!」



ドキッ



「上にあがった以上、気をつけろよ!」

「…谷口…君…?」



掴んだ手首を離す。




「あんた自分の立場分かってんの?」

「分かってるし!」

「いや、分かってねぇな!もっと自覚した方が良いと思うけど?」


「心配しなくても大丈夫よ」

「大丈夫ねぇ~。過去に酔っ払って大変な目に遭ったの誰だよ!夏川 理乃!」

「いや…あれは…」

「あれは…?」


「もう良いじゃん!」

「今後、色々と影響するんだよ!痛い目に遭うのは、お前なんだからな!」



「………………」



「…分かった…分かりました!気をつけるわよ!」



「………………」



「ていうか仕事とはいえ、あんたに指図されるのムカつくんですけど!」

「悪かったな!」



私達は騒ぐのだった。
























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