第2話 事件~彼のもう1つの顔~

「夏川 理乃さん」

「はい?」


とある女性が私に声をかけてきた。



「実は、あなたに是非、御会いしたいという方がいらっしゃって…一緒に来て頂いて宜しいですか?」


「えっ?」


「時間は取らせません」



私の返事を聞く事なく私は車に乗せられた。




しばらくして、とある高級感ある料亭に連れて来られた。




「あの…」


「中で…お待ちです。御案内致します」


「…えっ?いや…でも…私は…」





そして、そこにいたのは…………




「えっ?あの…」




以前、彼、谷口君といる時に、1度だけ御会いした事ある相手だった。




「いやぁ~…すまないね。どうしても君とお話したくてね」


「お話…ですか?あの…」



お酒の席。


断る訳にはいかず私は、お相手する事に。



久しぶりのお酒に、私はほろ酔いになり、これ以上は飲むわけにはいかないと自分でセーブした。



だけど……




ドサッ


私は酔っ払ってしまい別の部屋に用意されていたと思われる布団の敷いてある場所に連れて行かれた。




「んー……」




洋服が脱がされていく。




その時だ。




「山口専務、お楽しみの所、悪いんですけど…」


「えっ?あっ…!」


「勝手な真似しないで貰えますか?」


「いや…これはだな…彼女が…」


「彼女が誘惑してきたとでも…?」


「そ、そ、そう…」




ぐいっと胸倉を掴む。



「その状態で誘惑出来る訳ねーだろ!?あんた立場分かってんの?勝手な真似してんじゃねーぞ!今回の話はなかった事にしてもらいます!山・口・専・務。彼女に、二度と近付くんじゃねぇっ!商談継続したいなら土下座でもして親父に謝るんだな!」





そして、目を覚ますと見慣れない部屋にいる事に。




「えっ?えっ!?ここ何処っ!?」




私は記憶を辿る。



「えっ?もしかして、お持ち帰りされた?」



シャワールームからは、シャワーが流れる音が聞こえる。




「ヤ、ヤバイ…どうしよう?か、帰らなきゃ!」




私は慌てて帰る仕度を準備をする。



玄関のドアノブに手を掛けたと同時にシャワールームのドアが開いた。


ゆっくりと、恐る恐る、ドキドキしながら振り返り始めると……




ガンッ



相手はドアに手を付いた。



ビクッ



「夏川 理乃さ~ん、勝手な行動は辞めてもらえませんかぁ~?」




至近距離にある顔。


笑顔を見せるも目が笑っていないと思われる表情が伺える。




ドキーーッ



「えっ!?谷口 蒼真ぁっ!?」



だけど、そんな事よりも



何で??


どうして??


えっ??


えっ??



事態が詠み込めていない。


ここにいる理由が分からないんだけど?




ぐいっと腕を掴まれる。





ドサッ


ベッドに乗せられたかと思うと私を押さえつけた。




ドキーーッ




「あんた、何処まで記憶あるわけ?」

「えっ?」

「ここにいる状況に至るまでの記憶」

「…そ、それは…。ていうか…性格…」

「は?」

「せ、性格違わない?」

「そうだけど?」

「えっ?」



あっさりと答えられた。



「プライベートまで、良い子ぶんの疲れるし!まさか、プライベートもあんな奴と思ってたとか?」


「そんなの…」


「ありえないから!で?本題!答えろ!酔っ払い女!」


「なっ…!」


「分かる範囲で答えろよ!」


「わ、分かったから…その前に退いてくれるかな?」


「やだ!」


「なっ…!あのねーー、この体勢で話せる訳ないでしょう!?」


「キスもHもしねーなら話せるだろ?」


「…そ、そんな…」


「あ、それともあんたがこの体勢で話せなくて変な気持ちになるとか?」


「な、なりませんっ!」


「だったら話せよ!」




「………………」





離れる谷口君。



「俺が理性失いそう…」


「えっ?」


「一応、女だし!」


「一応って…れっきとした女です!」


「バツイチの37歳だけど」


「そう!バツイチの…37…って…ちょっと…知って…」


「当たり前だろ?仕事ができて女が昇り詰めた現状だし。調べてみたくもなるだろう?上司で先輩なら知っておく必要あると思うけど?謎めいた下で働くの御免だし」


「そ、そう…」




私達は、ベッドに肩を並べて座ると、私は話をする事にした。









































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