上司と部下

ハル

第1話 出逢い

私達は


どうして今


出逢ったのだろう?


もう少し早く出逢っていれば


良かったのかな?


既に別の道を先に歩んでいた私は


この人生に


たくさんの勇気が


必要としていた




そう……



彼に出逢い


私が自分の心を


コントロールするのに


苦労していた





「離婚して!これに今すぐ名前書いて!」


「ちょっと待てよ!仕事ならきちんとするから、もう少し時間…」


「時間、時間って…いっつもそうやって言って、全然動こうとしてない!もう聞き飽きたよ!もう…私を解放して…それに…浮気しているって話だし!」


「それは……」




彼、祐介(ゆうすけ)と結婚して、10年。


結婚当時は真面目に働いていた彼。


だけど職場を転々と変えている事に気付き嫌気が差し始めていた。


今じゃ無職の彼。


しかも、どうやら浮気している事も明らかになり、お互いもう40歳前の37歳。


ズルズルと今まで一緒に過ごしていたけど、もう限界だ。


確かに私がマンションに帰る事が少ないのは事実だから異性は連れ込み放題だろう。


だからって、仕事をしようとしない彼。


おまけに浮気!?


ありえない!!


そして、要約、私達は離婚に至った。





申し遅れました。


私の名前は、夏川 理乃(なつかわ りの)。37歳。


バツイチ。


そして、実は、男の子が2人いるという。


私が仕事上、転勤が多く、海外や日本全国の異動する為、場所が定まらず落ちつかない。


その都度、子供達が引っ越しや転校なんて可哀想過ぎて実家に預けているのだ。


最初は、私も子供に申し訳ないと思いながらも幼い頃は後ろ姿を引かれながらも仕事に行った頃が懐かしい。


今は子供達も私の仕事を理解してくれてるみたいだけど……


大手会社で働いている、OLであり、かなり上まで昇格した女子だ。


社長まではいかないけど、自分で言うのもおかしい話だけど、仕事が出来る。


何度も挫折したけど、負けたくなくて女だからって思われたくなくて。


その思いをバネに今までやってきたのだ。


結婚して離婚して、フリーになった以上、更にパワーアップして私は頑張ろうと決意した。





そんなある日。


私達の職場に新人が来た。


この時期に珍しい。


異動時期にしては微妙な時期だ。


彼の名前は、谷口 蒼真(たにぐち そうま)。22歳。




「夏川さん、しばらくは彼の指導をお願いしたいんだが」


「えっ!?私がですかぁっ!?」


「彼は有望な人間なんだ。次期社長候補の一人なんだ」




《有望だからって何?》


《私に次期社長候補を指導ってどういうつもり?》


《しかも年下って…》


《若社長でも目指してるわけ!?》




「君も頑張って、今日までやって来たんだ。あいにく上を目指している指導係はいないからなぁ~」



《いやいや、沢山いるでしょう?》




「私である理由はなんでしょう?」


「それは…」



社長が言うのを制する彼。




「あなたが仕事ができると判断の上であなたに指導を頼んだ。あなたは女性でありながらも、かなり上まで昇格していらっしゃるとなれば是非とも側で拝見させてもらいたい」



「……………」



「それとも…自信がないのでしょうか?例えば…女性という武器で沢山の上司と……」


「違います!ある意味セクハラですよ!」


「だったら…僕の指導係を指名させて頂いて宜しいですか?…夏川…理乃さん」





私の名札をチェックしたと思われる。


ニコッと微笑む男の人。




「…分かりました」




《何なの?何かムカつくんですけど》




それから彼の指導係になったものの、かなり生意気な口を叩く。


女だからって馬鹿にされてる気がしてならない。


彼に先輩、後輩もない。




「ちょっと!あなたってどうして…」




その時だ。



「あれ?君は…もしかして…」


「御無沙汰しています。山口専務」



どうやら彼の知り合いのようだ。



「元気そうじゃないか?」


「はい、お陰様で」


「おや?隣の美女は…君のコレか?」



小指を立てる。




「いいえ。彼女は職場の上司でして、今、色々と側で学ばさせて貰っています」


「そうか」


「山口専務、そろそろ」



秘書と思われる女性が専務と言われている人に言われる。




「ああ。そうだな。それじゃみんなに宜しく」

「はい。失礼致します。お気をつけて」

「ああ。ありがとう」




私達は軽く会釈をし別れる。




「おい。さっきの女性を調べておいてくれないか?」

「さっきの女性?と言いますと…あの男性の方と一緒にいた…」

「そうだ。頼んだぞ!」

「…かしこまりました」



「夏川さん」

「何?」

「夏川さんって…彼氏いるの?」

「突然何を聞いてくるかと思ったら。彼氏はいません。欲しいとも思わない」

「どうして?」


「あなたに関係ないでしょう?」

「…あー…じゃあ結婚してるとか?」

「だから関係…」




くいっと顎をつかまれた。



ドキッ




「…バツイチ」



ギクッ



パシッとつかまれた顎を払い除ける。



「だから関係ないでしょう?あなたに話す理由ある?」

「ないですけど?」

「だったら…」



「でも俺の指導係だし先輩であり、しかも一応、上司という事で部下であり後輩の俺が知らないなんて良くないですよ~。先・輩」




私の言葉を遮るように彼は言った。




「………………」



「ちなみに、俺、自慢じゃないですけど、沢山のお偉いさん方と顔見知りなので」


「へぇ~…それで?」


「気を付けて欲しいだけですよ」


「えっ?」


「あなたは女性。言わなくても分かりますよね?今まで、何事もなくトントン拍子に上まで昇格したあなただ」



「………………」



「そんなの…」


「色々な人がいる世の中ですよ!仕事ができるとなれば、かなり努力してきたんでしょう?だけど…今後何もなくうまくいくと思いますか?」



「………………」



「とにかく、そういう事なので頭の隅にでも入れておいて下さい。夏川 理乃さん」


















































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