第27話:2階人妻マリナ
俺たちは二階へと向かう。きっと人妻だよな。俺的にはおっさんだからか若い子がよかったから人妻マリナは最後に回したのだが……とりあえず攻略はした。
この人妻マリナはちょっとな。純情ぶっているくせにやったら最後。とんだエロエロ女に開発されちゃうっていう展開だからな。面倒だな。トーマスにはミロリンいるし俺は相手しようもんなら電流流されるし、どうしたものか。
待てよ。ここのゲートを守る魔物って確か……うん。これでイケそうだ。俺は作戦を考えて階段を上った。
トーマスが扉を開くと、糸が張り巡らされており、なかなか中に入ることができない。やはり、蜘蛛男で間違いなさそうである。トーマスが剣で、蜘蛛糸を切っていく。蜘蛛が大きくなっただけなはずなのに、なぜか顔には太いゲジゲジ眉があり、個性が強い。ちょっと見ていて痛々しかった。
蜘蛛男が吐き出した糸の先に絡めとられていたのはやはりマリナだった。マリナは蜘蛛糸に服を解かされているのか、体からは煙が出ていた。
「いやん。いやん。助けてぇ。熱いっ……。でもなんかこれがか・い・か……」
俺は一気に幻滅してがっかりしてしまう。うん。やっぱり昭和の機関銃を思い出すほど古臭いんだよな、この人妻。だからちょっとおばちゃん、いや、おばあさん臭が強くて俺は好きになれなかったのだ。
トーマスは解かされてく裸にうろたえているようで、ミロリンが必死にトーマスの目を両手で塞いであげている。健気でかわいいし、羨ましいな。おいっ。俺も……いや、アーリエ姫のご褒美があるから今は我慢だ。
俺は蜘蛛男に話しかける。
「おい、蜘蛛男よ。そんなにマリナが好きならそのままお楽しみにしてくれていいぞ」
「ほ、本当かっ?」
蜘蛛男は俺たちへと向けた蜘蛛糸をひっこめた。よし、これなら大丈夫そうだ。戦い無しで説得が試みれそうだ。
「あぁ、マリナは魔王の妃候補だがお前はマリナが好きなんだろう。それに俺の中では魔王の妃はあの女だと決めている。だからマリナは必要ないんだよ。それに……この異世界ファンタジー要素だらけの展開に人妻やJKなんかおかしいと思わないか? いくら需要があるにしても無茶苦茶だろう」
「いや……お前が何を言っているのかわからないんだが。だがしかし、魔王の妃の感度をあげるのが俺の仕事だったんだが……このマリナがエロすぎて俺がハマってしまったんだ。よくわかったな」
俺はその言葉に心の中で返答する。だって、蜘蛛男ってマリナが主人公に奪われるのが嫌で暴れだすんだからな。設定と言えばそれだけなんだが……魔王のためということ以前にゲーム内で目がハートになっているのでマリナへの好意は丸わかりだったのだ。
「そうだな。だって、今のってプレイの一種でしょ? マリナも嫌がる振りをしているが顔が綻んで喜んでいるのを隠しきれていなかったようだしな。とんだ淫乱……」
「お前、マリナを侮辱するのは許さん」
蜘蛛男は、ゲジゲジ眉が吊り上げたかと思えば俺を縛り付けた。
「おい、ロイ大丈夫か」
トーマスは俺を助けようとしたが、手で制止する。きっとマリナが反応するはずだ。主人公が蜘蛛男に捕まらなければ話が進まないのだ。
「蜘蛛男様、お待ちください。この方は私を救いに来てくださったのです。だからもし私をお慕いくださっているのでしたら、私のためにどうか見逃してしまいませんか? 私は蜘蛛男様を愛しています」
「マリナ……俺もお前を愛している」
まさかのドラマのような展開が始まるとは思ってもいなかった。けれど、2人の芝居は続いている。
「はい。むしろこの騒ぎを利用してここから出て二人で暮らしましょう」
「マリナ」
「蜘蛛男様」
二人は抱き合っていた。
俺は内心うんざりしてしまう。不倫の癖によく言うな。この女図々しい。言っとくが俺は不倫は大嫌いだ。背徳感がたまらないとか言うバカな男は死んでしまえばいいとさえ思ってしまう。なぜ、お前は結婚したんだと思う。1人の女性を幸せにすると決めて結婚したはずなのに、その女性を裏切る行為は死に値する。
ただし、結婚前なら少しはうらやましいのでありかなって……結局は俺も変わらないのか。だが、男の本能は狩りをする生き物だから仕方がないって駄目だな。
(そうよ。よく踏みとどまったわね)
(アーリエ姫……やっぱり聞いていましたね。てか湯あみは終わって今はどうなってますか?)
(今はね、美味しいものを食べさせられているわ。子が為しやすい料理らしいわ。惜しいしいわよ。モグモグ)
(なんか囚われているわりには、かなり余裕ですよね。無理していないですか……)
あまりにも元気を装う姿に違和感を感じ始めた俺はアーリエ姫に問いかける。
(ロイ……本当は不安なの……抱かれるのはあなた……って決めていたのにいくら容姿端麗でいい声だからって嫌だわ……)
(アーリエ姫。ちょっと俺は本気出しますわ。待っていてください)
(お願いね……ロイ)
アーリエ姫との脳内会話を終えて、目の前を見るととんでもないことになっていた。マリナと蜘蛛男はチュッチュッチュしているし、ミロリンはそれを見て影響を受けてトーマスにキスを迫るミロリン。逃げ回るトーマス。
これはゲームとは違うんだと目の前の事実が俺にその現実を見せつけている。これはゲームに似てはいるが現実での出来事なのだ。気を引き締めなければいけない。油断していたら失敗する。
「蜘蛛男よ。いちゃつき中悪いが、俺たちもう3階へ行っていいか?」
「あぁ、お前と出会えたことでマリナからの愛の告白を聞けるとは思っていなかったからな。感謝する」
そういうときらりと光る銀色の鍵を俺に渡した。
「これは……?」
こんな鍵、ゲームではなかった。
「この鍵は魔王を封印するために用いる鍵だ」
「えっ、マジで。ありがとう。知らなかったよ」
「そうだろう。これは俺が極秘に調査してゲットしたものだ」
「もしかして……マリナと暮らしていくため?」
「あぁ」
蜘蛛男はマリナを抱きしめる。うん。もう勝手にやってくれればいいがこの鍵は助かる。
「ありがとう。じゃあ行くね。マリナはちゃんと離婚しなよ」
「大丈夫よ。魔王に囚われて1カ月経った今もう離婚が成立しているわよ」
「なんだよ。なら人妻じゃねぇじゃんか!!」
俺は思わず悪態付いてしまったが、これはこれでよかったのかもしれない。
「そうね。でも私の旦那モラハラ気味で姑からの嫁いじりも激しかったから今私は幸せよ。そう言った意味では魔王様には感謝ね。連れて来てくれたおかげでこんな優しい旦那様に出会えたのだから……」
「うん。ここで少しテンプレのセリフが入って来るんだね。それにしても一気に現実っぽい話ぶっこんでくるから俺戸惑っってしまったけど……なら幸せにね」
「えぇ。いいタイミングをくれてありがとう」
「そうだな。コイツには魔王を倒してもらえれば俺たちの生活は保障されたもんだしな」
「あぁ、頑張るよ」
次は淫魔かJKかどっちだろうか。どっちにしても俺は嬉しい。淫魔はスタイル抜群の抜き上手、床上手なお姉さん。
JKは制服プレイがたまらない若くてぴちぴちが売りの……想像しただけで鼻血が出そうになった。アーリエ姫から電流が流されるかと思ったが何も起こらない。
これは喜んでいる場合ではなさそうだ。俺たちは3階へ向かった。
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