第25話:ロイの暴走 ※?
アーリエ姫は申し訳なさそうに言った。
「……ごめんなさいね。今まではあなたの立派なものが当たっていたから今日はおかしいなと思って……」
「いえ……俺の方こそ張り切っていたくせになんかすみません。だけど、アリア様……いや、あのばばあ、いい加減にしろよ!! ふざけるなよ」
頭の中で「ざまぁ」というおばさんの声が聞こえた気がした。
「アーリエ姫、本当に肝心な時に無能ですみません……」
「いえ……こちらこそ雰囲気は最高潮って感じだったのに釘をさしてしまってごめんなさいね」
「……でも……」
俺は目の前にある頂をどうしても味わってみたい。こんなにも大きなお胸を目の当たりにしてこのまま引き下がることはしたくなかった。
「ロイ、その今は……我慢してね?」
「どうしてですか……?」
俺はもう心を読まれているのはわかっているのだ。なら理由を聞いた方がいい。今まではサービス満点で色々と楽しませてくれたじゃないか。
「ロイは……あわてんぼうさんだわね。そんな焦らなくても私はあなたのモノよ?」
「なんですか……それっ!! 俺はやりたいんだよ。そのぷっくりしたのを舌で転がせて、チューチューと赤ちゃんのように吸いたいんだ!!」
俺の暴走は止まらない。欲求不満なヤバめのおっさん、いや、エロ親父の発言である。風俗なんていったこともなかったし、ある程度の欲は抑えられていたはずの俺は、今日はどうしたんだろう。なぜか記憶の戻った俺は必死だった。自分の理性や欲望が抑えることができない。
無理やりアーリエ姫の胸にしゃぶりつこうとしてしまう。
「ロイ……やめてっ!! こんなのあなたらしくないわ」
「俺らしく……俺ってなんだよ!!」
「えっ?」
悲しそうな顔をしたアーリエ姫に俺は冷静さを取り戻した。
「そうですね……すみませんでした」
無理やりいつの間にか抑えつけてしまっていたアーリエ姫の手首には真っ赤な俺の指の跡がくっきり付いたのが見えて、慌ててベッドから飛び降りた。
いったい、俺は何やっているんだよ。俺のモノがポークウインナーだからって、起たからって焦り過ぎだろう。アーリエ姫を傷つけてどうするんだ。俺は自分の余裕のなさに1人うな垂れていた。
「ロイ……傷ついたのね。そうよね。私がやっぱり浅はかだったわ。お詫びに……」
「いえ……すみませんでした」
俺はアーリエ姫に土下座をした。
「そんな……ロイやめてよ。お願いだから」
「いえ、俺はアーリエ姫を傷つけました」
「私はもう……大丈夫だから」
そう言いながらも、肩が小刻みに震えていた。きっと怖かったに違いない。
「アーリエ姫、もう服を着てください。俺は出て行きます」
「えぇ……」
アーリエ姫は迷っていたようだが服を着てくれた。そこにトーマスがドタバタと神妙な面持ちでやってきた。アーリエ姫がため息をついた。
「トーマス。あなたはまた……」
「アーリエ姫、ノックもせずに突然のご訪問申し訳ありません。ですが……魔王が復活したようですので、至急この場から逃げてください」
「えっ……どうして? 昔勇者がちゃんと殺したじゃない。もしかして……この前の魔族が復活したことと関係しているの?」
「あれは……」
「トーマス!! 何よ。言いなさいよ」
「すみません。アイツは確かに殺しました。けれど、本来の聖剣は魔王を倒すものです。その聖剣が生まれたってことは、倒すべき魔王が出てきても不思議ではないはずです」
急に知的に話しだすトーマスに俺は驚きを隠せない。いくら脳筋とはいえ緊急事態では、やはりできる男なのかもしれない。
「……そうだったわね。確かにあのときも……」
二人がどんどんと話を進めようとしているので、俺は気になることを尋ねてみた。
「あの魔王ってもしかして……ダークネスって名前だったりしないですよね?」
「ロイがなぜ知っているのよ……」
「はぁ」
俺はため息しかでなかった。アリア様といい、魔族といい、魔王といいガチガチにゲーム設定じゃねぇか。ここでそんな設定を盛り込むなよ。記憶が戻ってチートも目覚めてハッピーエンドでいいじゃねぇか。俺は1人イライラしてしまう。
イライラしていても仕方がない。あのゲームってどうなるんだっけ。魔王が復活するけど、本来の力を取り戻すには生贄が必要で……確かその生贄が美女だった気がする。
その美女は自分が好きな女性を選べるんだったよな。俺はケモ耳モフモフ子を選んだ気がするがまだ出てきていない。今後出てくるなら、あのケモ耳の子かわいかったし、嬉しいな。どんな手触りなんだろう。けれど今の時点で当てはまる美女は、アーリエ姫しかいないという事実に気づく。
その瞬間腕輪からビリビリと電流が流れる。いったい何が起きたんだ。
「いたっ!!」
「ロイ……? 私以外の女のことを考えちゃダメって言わなかった?」
アーリエ姫が怒っている。まさかまた心を読んだのかよ。
「アーリエ姫じゃれ合っている暇はありません。早く……」
トーマスは焦っているのか、冷や汗をかいているようだ。こんな余裕のないトーマスは見たことがない。それほど、魔王は強いのだろうか。魔王の弱点を思い出そうと考えていたところで、肝心なことを思い出してしまった。
ゲーム通りだとすれば、その聖剣で倒す前にその美女が誘拐されるではないか。
やばい。このままでは本当にアーリエ姫が魔王の城に攫われてしまう。しかも、そのまま魔王と結ばれるような裏ルート攻略になりようもんなら俺の出番はない。
その時はプレイヤーである俺は死ぬんだ。いわゆるゲームーオーバーになる。そうなったら、アーリエ姫との結婚どころか、できないじゃないか。
「アーリエ姫逃げてください」という俺の声はむなしく、魔王の声が聞こえてきたのだった。
「ハハハハハ」
相変わらず、低温ボイスが魅力の声優さんだな。リアルな声に思わず感心してしまう。
いきなり、黒い渦巻とともにさっそうと現れたのは、やはり予想通りのダークネスだったのだ。
「おぉ、これはこれは我が妃にふさわしい姫ではないか。顔だけでなく、その魅惑的な体が俺の素晴らしい子孫を残すであろう」
「そんなことさせない!! テンプレ通り喋りやがって。これならどうだ。アーリエ姫は俺の子供しか生まないんだ!!」
「ほほぉ、お前のようなそんな幼子のようなものしか持っていない奴にどうやって子が作れるのだ」
その言葉に俺は自分のモノが小さくなっていることを思い出し、赤面して思わず黙ってしまう。コイツテンプレ以外も喋れたのかよ。魔族のアイツはほぼ無口だったから、セリフがあるところ以外は喋られないのかと思ったが違うのか。色々へこんでいる俺をアーリエ姫は優しく励ました。
「ロイ、心配しないで。私はあなたしか愛していないから」
「アーリエ姫……」
「クックック。なんだその会話。そんな安っぽいセリフよりも俺に抱かれればすぐさま俺になびくはずだ」
「なんだよ。人の会話をセリフ扱いしやがって。お前こそゲームの設定だろうに!!アーリエ姫はそんな簡単に心変わりするような安い女性じゃない。色っぽいくせに本当の心は乙女で恥ずかしがり屋なんだ。そこがまたギャップでたまらないんだが……」
「そうか。それを聞くとなおさら早く抱きたくなるな」
その瞬間、突風が俺たちを襲った。あれは周囲の目を一時的に遮断する「ハリケーンフラッシュ」じゃないか。
そう気づいた時には、すでに部屋にはアーリエ姫の姿がなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます