1-2 『多面性』って何だろう?

 本題から入ろう。『多面性』とは『一つ』の物事、事象、あるいは出来事をいろいろな角度、方法で『物語』ることである。

 わかりやすく見方と言ってもいいが、ここではあえて物語ると名付けたい。

 どこかで見たという人もいるだろう。これは一番最初に述べた『まとも』を疑う際に使った手垢の付いた手法である。少し深く見ていこう。

 ものごとを多面的に見る。多面的に物語る。あれはあたかも、別の人生を生きることである。それにより一つの物語に固執していた自分の心を自分の意思で別の物語に誘い、新たな視界を人にもたらす。


 たとえば死ぬしかないと思い込んでいた自分が、別の物語ではそれほどではないなと思い至るように。そういったことは全て物語の効用なのである。

 反対に肉体的な危機という物がある。肉体的な危機は単純に肉体的に危機なのではなく、思考を一つの物語にまとめあげ、他に何も考えられなくする。これは危険な行為であり、そのような行為を推し進めるような会社や受難からは早く逃れる必要がある。自分の心の余裕を守るために。

 

 次は人間が生きるに値するかについて考える。この物語の主文と言っていい。

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