第11話 久しぶりの遠出はいつもと違うニオイにワクワク♪


「いいか、みんなには親戚の子だと言うから、話合わせろ」


「うん」


「あと挨拶な」


「うん」


「それから日陰から出ちゃダメ」


「うん」



 只今、最後の確認中の二人を実況してます。

  親子の会話みたい? 違う違う、広輔コースケ恵梨エリです。


 結局、僕が入ったものを抱え続けるのはと判断され、自転車の後ろに括り付けられました。 だからか結構ガクガクきます、このケージ。

 会話に参入すると舌を噛んじゃいそうなので、僕は黙って聴くだけにします。



「一緒に遊ばないの?」


「遊びに行くんじゃないよ、ラグビーの練習だから。 グランドをうろうろすると危ないんだよ、みんなチェストで走っててさ。 お前なんか吹っ飛ぶぜ」


「また、こうすけ。オマエじゃ


「あっ、間違った、恵梨えりだった……なあ一つ聞いていか? キミさ。 生意気ってよく言われない?」


「生意気って?」


「うんうん、生意気。 意味わかる?」


「生意気って意味は知ってるけど。 言われへんと思うで? 生意気とちゃうもん、でもなんで?」


「だってオレは年上じゃん? なのにさ……」


「なのになに?」


「何って。なんかさ……そういう所がちょっとね」


 なんだよ、歯切れが悪いな。

 強気でくるとういか、退かないというか、そんなとこを指摘したいんじゃないの?


「ん〜わからん。 小さいのにしっかりしてかしこいね、とかはよお言われる♪」


 あれれ〜教えようか?

 それ自画自賛ていうのだぞ。


「それはお世辞で言ってるんだろ?」


「ちゃうよぉ、お母ちゃんに似たのねって。 病院にいる人みんなに言われるもん♪」


「じゃあ恵梨えりのお母さんも生意気ってことになるじゃん。アハハ」


「もー! お母ちゃんの悪口言うなー!」


「悪口って、冗談だよ。 そんなに怒ること?」


「こうすけが、こうすけのお母ちゃんの悪口言われたらどうなん?」


「……それは怒る」


「やろ? やからウチのお母ちゃんの悪口も言わんでよ!」


「わかった、わかった。もう言わないよ」


「ほんまに? うん、そやったらウチも怒らへん。 仲直りしよぉね」



 ムムム、僕わかっちゃったかも。

 広輔コースケってこの女の子に弱いんだ。

 他の女の子には強気なのにな? なぜ?

 だってね、他の女の子が僕にベトベト触ってくるといつだって『オレのドラに触るな!』って追っ払ってくれるんだもんね〜。

 ってことはさっ、この女の子。 見た目はそうは見えないが、相当強いんだろな……



 (僕も仲良くしといた方が良さそうダニャ)

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