第7話 知らなかったの?僕は昨日の晩から知ってたけど?


「あんた大丈夫か? 頭打ってへん?」


「……へ、平気だよっこのくらい。ちょっと失敗しちゃっただけ。こんなの。それに一番上から落ちたんじゃ無いしさ」


「ほんまに大丈夫ぅ? 痛そうやけど……」


 女の子に下からじーっと見られて、打ったトコさすられて広輔コースケが口をパクパクさせてる。

 ダヨネ、敵に心配されてちゃ弱いとこ見せられないもんな。

 かーなーりっ、恥ずかしい展開だけども。


「触んなくていいから。ほんと冗談抜きで。かまわないでって。大丈夫だから」


「そうなん。そんなら心配せんとくね」


「んで、お前。何でここに居るの?」


「それは『起こしに行ってやって』って、おじさんがウチに頼んでな、そんで……」


「違うだろ。どうして帰ってなくて家に居るのか聞いてるの」


「それは、泊まらして貰ったからやん?」


「誰が泊まっていいと言ったんだ? オレに許可を取った?」


「アンタに許可もらわんとアカンのん? 知らんかった。おじさんは『夏休み終わるまで泊まっていきなさい』言うてたよ?」


 オイオイ朝メシまえの喧嘩になるのか? 君達はお腹。いてないのぉ? 今はヤメて欲しいのだけどな、僕。


「お母ちゃんも『ええよ』言うたし。『家に一人で留守番は淋しいやろしな』って言うたし。でもあんたは『アカン』て言うし。ウチどうしたらええん?」


 女の子泣きそうだぞ、どうする広輔コースケ


「いやそれは、オレは聞いてなかった。そう言ってる。なんて言うか……泊まっちゃいけないってことと違ってさ? ちょっと待て。な? まず父さんに話をしなくちゃ。お前の母さんにもな」


「お母ちゃんは早出でもう仕事行ったよ」


「はぁ!? 居なくなるの早過ぎないか? だから起こしに来なかったワケか……ったくっ。


 あっ、そういう呼び方はしちゃいけないんだぞ。

 父さんトーサンなんだからちゃんと父さんトーサンって呼ばないとイケナイぞ。


「おう起きたか」


「なんだよ! どういうことにってるんだ、コイツ泊まらせるなんて。 あっ、いや泊まるなって言ってるわけじゃなくて。オレは何にも聞いてなかっただろ、て言ってるの」


「そんなに大声出せるのなら、怪我は無いな。どれ見せせてみ。よし、練習には支障ない。早く風呂入れ、朝練に遅刻だ」


「そうだ早くしないとオニザキの鉄拳くらう」


「(オニギリに怒られるぞ! 早く行っちゃって)ニャ!」


「コーチに少し遅れるとはメールしといてやたぞ。感謝しろよ」


「そんな暇が有るなら早く起こしてくれよ。父だろ?」


「そうだ父だ。その父をさっきなんと呼んだかな? しっかり聞いたぞ。覚悟しろゲンコだ」


ゴツン_


 やっぱりな、お約束だよなコレは。

 さっ、その間に僕はゴハンの時間だ♪



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る