第4話 グンモンとは食べもん?何もん?どんな門?って愚問じゃね?



 母さんカーサンには僕、会ったこと無いから知らない。

 どの部屋も広輔コースケ父さんトーサンのニオイしかしないから、僕が来るずっと前から居ないのだと思う。

 母さんカーサンを話題にだすのは、いつも広輔コースケで、父さんトーサンはうなづいてるだけだし、話が広がっていくことはないからね。 僕はよく知ることは出来ない。


 広輔コースケはたまに壁に貼ってある写真をじっと見てて。 僕がそばに寄ると、それを指さして「これオレの母さん。 美人だろ。 えへへっ」 って嬉しそうに教えてくれる。

 多分なんだけど、言いたいのは『これはオレが大好きな人なんだよ』 ってことだろな。




「父さんが誰を好きになっても反対はしないと決めてた。 淋しいって大人でも思うことあるだろう。 でもあんなことするなら。 もう戦争するしか無いとオレは思う!」


「(ん?ってなんだ?面白いことか? なら僕も一緒にする♪)ニャンニャンニャ〜ン」


「ドラも賛成だな。 よし、じゃあ同盟を組もう。 男と男の約束だぞ」


「(ウンウン、男と男の固い首輪キズナ、イイね!)ニャ」


「いいか、最終目標はあの高城って人と娘が家に住むのを阻止すること。 母さんの人権の守死。 僕等われらには勝利あるのみ!」


 (勝利ショーリだ、勝利ショーリだ、エイエイオー!)


「無論、敵は父さんを取り込んだみたいに、色んな手段を駆使して来る。 例えば今日の料理な。 一口だって食べてやるもんかっ! 軍門に下っては男がすたるってもんだ」


 (え〜飯抜き? 舐めてもダメかぁ? 一口食べても許されないのぉ? それはチト辛いゾ。ムムムー)


 僕のために用意されてた夕飯バンゴハンは、好物の竹輪をちぎった上に鰹節を塗まぶしたものだった。

 半分でも平らげておけば良かったかなぁ、と猛烈に後悔をした。

 でも目を真っ赤にしてる広輔コースケを前に、約束を取り消すなんてことは僕は出来ない。『武士に二言はない』だよね。


「ミャーン(でさぁ、質問なんだけど。とやらは僕でもくぐれないの?)」


 どんな門なんだろ? 入ったら中は暗くて狭いとかか? 段ボール箱みたいな? それかお菓子の箱?

 あ〜お尻がムズムズすりゅぅ〜。


「(いや、待て。 いきなり頭から突っ込むのは危険だ! まずは足先でツンツンしてからだな……)ミュツ、ミュッ、ミュッ……」


 なんて僕は肉球をプニプニされながら作戦を立ててたんだ。

 全てはってのを楽しくするために。


 (楽しくなければ同盟ドウメイじゃない! 勝利ショーリのカドに笑いあり!)


 ……ちょっち違ったカナ?とにかく僕等ぼくら同盟ドウメイをしよう。

 そうしたら広輔コースケも前みたいに馬鹿笑いするようになるに決まってる!

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