第11話 ブラック・ウーロン・ティー
「えーと、とにかく早く選んでください。後ろが迷惑するんで、それじゃぁ‥」
そう言った後、北極姫の手を掴み、おぼんを取り料理の前に行った。
お互いに料理を取り会計を済ませた後北極姫に話しかけた。
「何、取ったんだ?」
「ご飯とサラダと生姜焼きと忘れちゃいけない杏仁豆腐ちゃんよ!」
「バランスよく取ったんだな。やっぱり女の子だな」
「バイキングに女とか男とか関係なくない?私の人間性が高尚なだけのことよ」
「おっしゃる通りで」
「あなたは何を取ったの?」
「カレーとハンバーグと焼きそば」
そう言うと北極姫は、馬鹿にする様な笑い方でこう言ってきた。
「偏差値の低い中学生男子みたいな取り方ね。教養で、栄養学でも学んだ方がいいんじゃないかしら」
「うるせえな!俺は、これでいいんだよ!バイキングで好きな物を好きなだけ取って何が悪いっ!」と言っている時でも北極姫は笑っていた。
「まぁいいや、席どこにしようかな?どこがいいと思う?」
そう言って、周りを見てみると、何やら奥の方の四人がけぐらいの大きさのテーブルで誰かがこっちを見ながら手を振っている。なんだ、あれ?
「おーい、ユーこっちだぞ」
「さっきの、あの黒ずくめ豚野郎じゃん」
「その言い方はよくないぞ」
「ふんっ、関係ないわ。あんな意味わからない奴は、放っておきましょう」
そんな
「何をごちゃごちゃしゃべているのだい?早くこっちに来ないか、せっかくの飯が冷めてしまうだろう?」
なんでこいつは、こんな外国の映画の中の気持ち悪いキャラみたいな喋り方をしているんだろう。もしかして、精神的な病気か?何かか?
横を見てみると、眉間に皺を寄せて今にも何か言いたげな北極姫が居た。まさに爆発寸前という感じだ。
とりあえず、この場で殴りかけられたら困るので北極姫の前に立ち、俺が扇動する形であの男が居る席に座った。
神様何も起こらないことを祈ります。
「ふーん、やっぱり、食事と一緒に飲むブラック・ウーロン・ティーは最高だな。君たちもどうかな?」
「黒烏龍茶なんて飲まないわよっ!あんたみたいなデブと一緒にしないで!」
黒烏龍茶をブラック・ウーロン・ティーなんて呼んでいる人を初めて見た。無駄にムカつくな。いや、そんなことはどうでもいい。なんで、この男は俺たちをこの席に招いたのか。この男の言動を見る限り何も考えてない素振りを見せながら黒烏龍茶を飲んでいるだけだ。マジで何も考えてないように見えてくる。
自分から、話のお題を切り出すのは、あまり得意ではないが、北極姫にずっと任せておくといつ手が出るか分からないので俺がするしかないのか。
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