第6話アメリカンは男のロマン。しかし、お値段は夢を砕く

「お待たせ!お前に似合いそうなやつを持ってきたぞ」

そう言いながらゴンザレスは、バイクに詳しくない俺でも分かるバイクメーカー「ハーレイダビットソン」のアメリカンタイプのバイクを持ってきた。

「うわ、ごっついな」

「そりゃぁ、俺の故郷のアメリカ大陸の広大な大地を横断するためのバイクなんだからデカくてゴツくてカッコイイのは当たり前だよ」

ゴンザレスに賛同したくはないが確かにかっこいいバイクだ。なんというか、男の乗るバイクだ。北斗の拳ならラ王、ルパン三世なら次元大輔が乗っていそうなバイクだ。

カッコイイバイクだと見惚れていたら、ゴンザレスが得意げに話しかけてきた。

「どうだ!気に入ったか?かっこいいだろ?男なら一度は憧れるようなバイクだろう」

「確かに、かっこいいですね。でも初心者が初めからこんなのに乗るのって大丈夫なんですか?」

「何言っているんだよ、男はいつでも上を目指さないとダメだろ!」

 こんな感じの精神論は、俺の中で最も嫌いな部類に入る。なんと言うかクレバーじゃないし暑苦しい感じが嫌いだ。

 

「でも、ゴンザレスさん、このバイクいくらですか?やっぱり高いんですよね」

北極姫が通販番組のアシスタントみたいにナイスなアシスト質問をした。

「いや、これは俺の中古だからな、安くしとくぜ」

「それでお値段の方は?」

「ざっと見積もってこんなもんだな」

ゴンザレスは、電卓を俺と北極姫の前に出してきた。その画面に出てたのは、ゼロの文字が五つ並んだ後に2の文字があった。

「200万!!」とつい大きな声をあげてしまった。

「そうだ、安いだろう」

「安くねぇよ!普通の大学生は買えないよ!」

「そうか?ローン組めばいけるだろ」

「いや、強引!!」

「俺なら、かっこいいバイクがあったらローン組んでも欲しいて思うけどな。それこそ、闇金に手を出しても」

「そんなことは聞いてません!とにかくこのバイクは無しです!予算オーバーしすぎてます!」

 アメリカンは、確かに男のロマンだ。しかし、その値段はロマンを打ち砕く。金のないやつには、ロマンも見れないのか。

一般大学生にとって、200万円は、その十倍の価値があるとひろゆ○が言ってた。それぐらいお金は偉大で貯まりにくい。

予算は、せいぜい今まで親戚から巻き上げてきたお年玉貯金とバイトで貯めた分をプラスして30万ぐらいまでなら出せる。

しかし、店並んでいるバイクの値札を見てみると、はどれも高額なものばかりでとても俺には、手の届きそうな値段のバイクは見当たらない。

どうやらここにお目当てのものは、なかったようだな。仕方ない、北極姫には悪いが高すぎるバイクを買って破産するつもりはない。だから、この店から早く出よう。

「ねぇ、篤士これ見て!これなんかどう!」

「もう帰るよ、ここのバイクは高すぎて、とてもじゃないが、俺の財布が温暖化するまでは買えないよ‥てあれ?」

目を向けるとそれほど値段は高くない。値段は税込みで三十二万円で排気量は二50C Cだ。デザインは、大きなハンドルで扱いやすそう、そしてスッキリ細身のボディは、「かっこいい」て素直に思えた。いいなこいつ‥。

「ゴンザレスさんこのバイクはなんですか?」

北極姫が俺よりも早く聞いてくれた。バイクのことになると本当にいい奴になるな。ずっとこのままでいいのにな。

「あぁそれか、それは、知り合いのバイク屋が店をもう畳むて言うからその店からいくつか買い取ったものの一つだよ。値札に名前が書いてあるだろう。カワサキの250T Rて」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る