第9話 強欲の悪魔
ボス部屋の扉を開くと中には白髪赤眼の美男子がいた。
その美男子はこのダンジョンのボスモンスター・ボブゴブリンの首を片手で持ち上げ、殺していた。
普通ならこの美男子はハンターだと思うだろう。ただし、俺が思ったのはコイツはモンスターか何かか?コイツは人間では無いというのは確かだ。恐怖耐性のスキルがなけれべ俺はコイツに恐怖していたに違いない。
「……お前、何者だ?」
俺がそう問いかけると、彼は少し驚いたように笑った。
「ほう、驚いた!我に恐れずに話しかけれるとは!貴様は面白い!
彼は興奮した様子で、自分の事を教えてやろうと言った。
「まず我は七大罪の一人!……強欲の悪魔マモンだ!」
その言葉を聞いた瞬間俺の身体から冷や汗がツーっと流れた。
悪魔とは、人間の魂を喰う最強種のモンスターのことだ。下級悪魔でも最低でもBランクのモンスターとなっており、最上級の悪魔はSSSランクの正真正銘の化け物であり、七大罪の悪魔はその最上級の悪魔の上位に入るほどだ。
そんな正真正銘の化け物がEランクダンジョンなんかにおり、こうして今俺と遭遇している。コイツと戦ったところで俺は死ぬだけだ。だが、今俺の中にあるのは強烈な恐怖なんかではない、俺が感じたのは……
マモンに殺されれば俺はマモンの一番強い能力を獲得できる!だが、その前に一応マモンの目的とやらを聞いてみよう。
「……それで、……お前の目的は?」
俺がそう問いかけると、マモンは目を見開き口を大きく開けて笑った。
「クックック!貴様は本当に面白いな!!強欲の悪魔だと聞いた上でお前は恐怖ではなく、喜悦を感じておる!!貴様には我の目的を
「……何?権能だと?権能とはなんだ?そして何故、強いモンスターではなく、ゴブリンなんだ?」
「クックック!権能とは我の一番強い能力であり、スキルの上位に位置する能力だ!適応するやつは強欲の力を手に入れることができる!そして何故ゴブリンか問うたな?我の能力を得た奴はどんなに雑魚でもいずれは強くなる!だから、一番適正に合うのがゴブリンなだけだ!」
つまり強欲の権能という能力に合うのがゴブリンってだけってことか。
これで、俺の聞きたい事は聞けたな。
「……ありがとう……聞きたい事は大体聞けたよ……さて、さっき俺に教えたのは冥土の土産だと言ったな?だったら早く殺してくれないか?」
「クックック!何故貴様が殺される事に喜悦を感じているのかは知らんが、まあいいだろう、貴様は中々面白かったからな、褒美に一撃で殺してやろう!」
マモンがそう言い手を俺に向けると心臓が掴まれる感覚にあった。
「では、死ね……強欲の手」
すると、俺の心臓が身体から飛び出しマモンの手に渡り潰され、そこで俺の意識は消えていき俺は死んだ。
『対象の死亡を確認しました。強欲の悪魔マモンの魂を刈り取りました。時崎空に悪魔の因子が適合しました。権能【強欲】を獲得しました。最上級の悪魔を刈ったことにより称号【
◇◆◇
目を覚ますと今日は強欲の悪魔マモンに殺された一日前に戻った。
過去に戻った俺はマモンから獲得した能力を見る為にステータスを確認した。
「へっ?……何これ?」
――――――――――――――――――――――――――
時崎 空 15歳 男 レベル:10
SP:5 BP:0
体力:20/20 魔力:25/25
攻撃:27
耐久:19
速度:30
知性:29
精神:24
幸運:25
〈権能〉
【
〈固有スキル〉
【死神】【死に戻り】【剣聖】【叡智神】NEW
【闇】NEW【隠蔽】NEW
〈スキル〉
【剣術レベルMAX】【恐怖耐性レベルMAX】
【火魔法レベル1】【収納レベル1】
〈称号〉
【回帰者】【死を恐れぬ者】【
【
〈試練〉
【七大罪の試練】NEW
〈装備〉
【魔刀・夜切般若】
――――――――――――――――――――――――――
権能【
簒奪:殺した対象のスキルを奪う
掠奪:対象とした権利と物を強引に奪う
総取り:一つしか指定できないものを全て取る
マモン:???
――――――――――――――――――――――――――
固有スキル【叡智神】
叡智:この世界の証明されているあらゆる知識を得る
大賢者:世界の言葉を借りることができ、自我を持つスキル
分析鑑定:対象の分析と鑑定をできる
詠唱破棄:魔法を発動する際に無詠唱で発動できる
思考加速:知覚速度を100倍にする
並列演算:自分の思考と別の考えで計算する
能力改変:自分の持つスキルを統合分離できる
――――――――――――――――――――――――――
固有スキル【闇】
身体強化:闇を
治癒強化:闇を纏えば纏うほど治癒能力が上がる
硬度強化:闇を纏えば纏うほど硬度が上がる
闇付与:闇を付与することができる
──────────────────────────
固有スキル【隠蔽】
隠蔽
隠蔽:あらゆるものを隠し偽装する
――――――――――――――――――――――――――
称号【悪魔殺し《デビルキラー》】:最上級の悪魔を殺した者に与えられる称号。悪魔との戦闘時にステータスを二倍にする。
――――――――――――――――――――――――――
称号【
──────────────────────────
試練【七大罪の試練】:残っている『
――――――――――――――――――――――――――
「やべぇ……なんか色々変わってんだけど……どういうこと?」
『説明しますマスター』
「えっ!?何!?何でダンジョンの声がするの!?」
突如聞こえてきたダンジョンの声に俺は余計に混乱した。
『マスター深呼吸して下さい』
「そ、そうだな……すぅぅ……ふぅぅ……よし、落ち着いた」
とりあえず俺は声に言われた通りに深呼吸して、落ち着いた俺は質問を問いかけた。
「……それで、お前は何で、このステータスの事も教えてくれるのか?」
『はい。私は【叡智神】のスキルの能力です。それと、先程マスターが言ったダンジョンの声とは正確には違います。まず、マスターが言っているダンジョンの声ですが、正確ではありません』
「なら、何なんだ?」
『正確には世界の言葉です』
「世界の言葉?」
『はい。ですが、これから先は禁忌の
「……そうか、なら他の事について教えてくれ」
『はい。ですが、その前にまず私に名前を下さい』
「⋯⋯へっ?名前?」
『はい。現在私には名前がありません。なので、呼びやすい名前をマスターが付けて下さい』
「そうか、分かった⋯⋯じゃあ、そうだな⋯⋯名前はスフィアだ。叡智の名から取った名前だ!」
『はい。了解しました。名前をソフィアに決定します』
「おう!」
『では、説明に戻ります。私は叡智神が作った自我を持つスキルです。そして、ステータスが変化しているのは簡単に言うとマスターが魂を刈った強欲の悪魔マモンを倒した事による神からの
「……そうか……だが、自我を持つスキルなんて、聞いた事ないぞ?しかも、神って居るのか?」
『はい。自我を持つスキルを知らないのは当たり前です。マスターが初めての所持者なのですから。あと神は居ますよ』
「……そうか……神って居るのか……そして俺が初めての自我を持つスキル保持者か。……あとはそうだな、試練の事を詳しく教えてくれ」
神がいるのは、多少驚いた所はあるがダンジョンや魔物がある時点でもう色々おかしいからあまり気にしないことにした。
『はい。強欲の悪魔マモンは神々が指定するほどの危険モンスターなんです。なので一体でも倒した方には他の報酬とは比べ物にならない報酬が貰えるんです。現にマスターは色々なスキルを獲得しました。その能力で他の七大罪の悪魔を倒す試練を与えて倒してもらおうと言うことです』
「……ちょっと待って」
ちょっと待って欲しい。神々が危険と判断するモンスターを倒せと?いや、無理だろ!?
『良いですか?それとマスターが目的とする家族を助けるという目的に七大罪の悪魔は間接的に関係ありますよ』
「なに?どういうことだ?どの悪魔と関係があるんだ?」
どういうことだ?何故そこで家族が出てくるんだ?それにどいつが関係してるんだ?
『おそらくですが、マスターの家族を殺したのは暴食の悪魔ベルゼブブの権能を持つモンスターでしょう。通常悪魔は自分のダンジョンから出てきません。出てくるのは権能を授ける時だけです。強欲の悪魔が権能を授けるモンスターを探していたように、暴食の悪魔も権能を授けるモンスターを探しています。そしてマスターの家族が死んだ日はBランクダンジョン【粘性ダンジョン】から
『マスターの家族の死亡時に身元を証明する物しか無かったはずです。それは、暴食の権能を持つモンスターが遺体を捕食したからです。ですが、暴食の権能とマスターはすごく相性が悪いです。暴食の権能は食べた物を胃袋に隔離して殺します。そしてその胃袋ではスキルが発動しません。要するに【死神】と【死に戻り】が発動しません。なので、この一ヶ月でマスターには強くなってもらいます』
……そうなのか。とてつもなく相性が悪いな。だが、俺のやる事は決まった!強くなって暴食の権能持つモンスターを倒して、家族を救う!
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