第8話 ダンジョン

 翌日の土曜日、俺は魔刀・夜切般若の試し切りのために近所の公園の近くにあるFランク【角兎ダンジョン】へと足を運んでいた。


「ああ、懐かしいなー。じゃあ早速入るか」


 このダンジョンはその名の通り主にホーンラビットが出現し、十階層で構成されている。

 未来では、俺の生活費として毎日毎日、来る日も来る日もホーンラビットを狩っていた。だから、このダンジョンは俺の庭みたいなものなのだ。


 俺はダンジョンのゲートに入ると中は草原になっており、早速ホーンラビットが二匹出現した。俺は刀の性能を見るために刀を鞘から抜いた。ちなみに俺が装備しているのは魔刀・夜切般若だけであとはただの服だ。


「きゅううん!」


「ふっ!」


 スパッ!!


 俺はすぐに距離を詰めると、一太刀で二匹の首を切り裂いて、ホーンラビットの首を切ったときに付着した血がだんだんと刀へと吸い取られていった。その後ホーンラビットを解体して魔石を取り、【収納】スキルに収納した。魔石は今では、魔道具として生活の日々に使われているのでホーンラビットのような魔物のクズ魔石でも集会所では100円ぐらいで売れるのだ。


「うわっ!すっご!やばいなこの刀」


 驚いた、ホーンラビットを切ったとき全く手応えを感じずに切れた。

 俺はそのままの勢いに乗ったまま階層を降りて、大きな扉のあるボス部屋に到着した。

 中に入ると通常のホーンラビットより二回りほど大きなホーンラビットが出現した。俺はそのホーンラビットに鑑定をかけてステータスを確認した。


――――――――――――――――――――――――――

名称:ボーンラビット 

個体名:――

――――――――――――――――――――――――――


 ふむ、鑑定のレベルが低いと対した情報を得られないな。


「まあいいか、取り敢えずこいつを倒すか」


「ぎゆううんっ!」


 俺は速攻で倒すため鞘から刀を抜くと、刀に魔力を流し込み剣聖の技を放った。


「はあぁっ!剣聖技――飛聖斬」


 その瞬間見えない斬撃がボスのホーンラビットの体を両断した。


 ザッシュ!!


 次の瞬間頭にダンジョンの声が響いた。


『ボーンラビットをソロで討伐しました。報酬が与えられます』


 ボーンラビットを倒して、ドロップしたのは三つだけだ。


――――――――――――――――――――――――――

ボーンラビットの角・・・・ボーンラビットの角。

ボーンラビットの毛皮・・・・ボーンラビットの毛皮。

ボーンラビットの魔石・・・・ボーンラビットの魔石。

――――――――――――――――――――――――――


「あまり期待はしていなかったが大した物は入っていなかったな。まあ、さすがにFランクダンジョンでいい装備や報酬は貰えないか。前回の初回ソロ攻略も大したの貰えなかったからな」


 俺は肩を落としながら転移陣に乗りダンジョンの外に帰還した。



 ◇◆◇



 翌日俺はもう少し上のランクのダンジョンを挑みに距離二キロにあるEランク【小鬼ダンジョン】に来ていた。


 このダンジョンはほとんどがゴブリンで構成されており、【角兎ダンジョン】と同じく一階層しかない。ボスモンスターはボブゴブリンだ。

 俺は過去に戻る前に挑んだがゴブリンに苦戦して、諦めた所だ。


 【小鬼ダンジョン】に入ると洞窟にレンガを敷き詰めたようないかにもダンジョンという感じだ。


 しばらく歩くと前方に二体のゴブリンがいた。一方は短剣をもう一方は素手のゴブリンだ。


「グギャッ!」

「グギャッグギャッ!」


「ふっ!」


スパッ!


 俺は刀を抜き最初に素手のゴブリンを倒すべく、一瞬で距離を詰め首を切り裂いた。


「グギャッー!」


 すると、もう一体のゴブリンが短剣を俺に突き刺すように突進してきた。その突進を最小限の動きで回避して心臓に刀を突き刺した。


 グサッ!


 そして、刀を心臓から抜き鞘にしまうとゴブリンの心臓から魔石を取り出し、収納して奥へと進んだ。


「うーん、ゴブリンそうでも無いな。これなら結構楽勝かも。でも油断して、気を付けて行こう」


 次々とゴブリンを倒して奥へと進んで行くと、すぐにボス部屋にたどり着いた。

 こんなに簡単に突破出来るとは正直思っていなくちょっぴり拍子抜けした。



 ――そして俺はこの後とんでもないことに起きることを知らなかったのだ。――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る