第八話 スカウト
「さて、食事も終わったところで、さっそく 本題に入らしてもらう」
さっきまでの空気はどこやら、一気に緊張感が走る。
「私が今日来たのは、貴様らをスカウトするためだ」
「スカウト、ですか?」
そういえばまだ、冬美とあんずにこの人は誰なのか、なぜ、家に来たのか説明してなかったな。
「あの~、もう一度名前をお願いします」
「なぜ私がお前に指示されなければならん」
いや、そっちが急に押しかけてきたのに何で俺が怒られなきゃいけないんだよ。
喉元まででかかったその言葉を、すんでの所で引っ込める。
「いや、その」
「まぁいい。 ……私はSAT電脳捜査班第三班班長、夢野桜子だ」
「SAT……」
俺の趣味を理解してくれる冬美は、SATという単語に反応する。一方あんずは、何かわからないようでぽかんとしている。
「あ、私は高岡冬美、16才です」
「俺は風早綾人、17才です」
「あたしは、風早あんず、14才ですっ!」
こちらも、改めて自己紹介をする。
「それで、スカウトというのは……」
「そうあせるな」
俺の質問をすげなく回避する。
あせるなっていわれても、SATからのスカウトなんて、何が何だかわからなすぎてあせってしまうんですけど。
「貴様らは、電脳世界、コード1005を知っているか?」
「はい。 たしか、死後にいける世界ですよね?」
あんずがハキハキと答える。でも、ちょっと惜しいな。よし、ここはお兄ちゃんが補足してあげよう。
「心臓と脳に埋め込まれたマイクロチップが肉体活動を停止したのを感知した時に、意識だけをどこかのスーパーコンピュータに送られると入れるところですね!」
「ほう、そこまで知ってるのか。 さすが機械オタクだな」
やったー!褒められたっ!一言多いけど。
「でも、それがどうかしたんですか?」
冬美のくりりっと好奇心に満ちあふれたその瞳、まるで少女漫画のお嬢様みたいだな。身も乗り出してるし。
「ここからは極秘だ」
「極秘?」
「あぁ、そうだ。 先を聴くには、スカウトを許諾してもらはないといけない」
「許諾すると、どうなりますか?」
おおあんず、ズバッと聞くなぁ。
あんずのたたみかけるような質問に、桜子さん(なんかいい名前だな)はニヤリと、不敵な笑みを返した。そして、圧倒的破壊力をもつ言葉を、耳にした。
「貴様らの現実は、完膚なきまでに破壊される」
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