第六話 転機

第六話 転機


 「どーん」

 「うぐっ!」


 意識をシャットアウトしていたとき、突然体感上部全体に衝撃が走った。

 その原因は、あんずが飛び乗ったことによるものだった。


 「お前、子供じゃないんだか起こし方ぐら

  い考えろ」

 「だって、何やっても起きなかったんだも

  ん」


 はぁ。だからってこの起こし方はないだろ。まったく、普通の中学生女子なら、兄のことなんて嫌う年頃だと思うんだけど。


 「なに? もしかして冬美さんに起こして

  もらいたかった?」


 「いやいやいや、そんなわけないないな

  い」

 「あ~あ、照れちゃってる。 さては図星

  だな?」

 「うっちゃしい!」


 あんずはコロコロモードが変わる。今日はいたずらモードで行くらしい。

 ……一番何をしでかすかわからない状態だ。気をつけないと。


 「綾人くんおきた~?」

 「はーい! おこしましたぁ~!」

 「ごはんできたから降りてきていいよ」

 「わかりましたぁ~」


 なんかこうしてみると、冬美、お母さんみたいだな。家庭的だし、料理上手だし、優しいし。

 階段をトントンと降りていると、チャイムが鳴った。


 「はい」


 俺は寝るときは黒のTシャツとズボンなので、そのまま出ても問題は無い。

 玄関のドアをそっと開けてみる。こんな朝っぱらから、誰だろう。


 「こんにちは」


 ドアの前にいたのは、赤シャツに黒スーツの目つきの鋭い若い女性がいた。一番目を引くのは、ポニーテールにされた見事な銀髪。染めてるのかな。


 「あの~、どちら様で」


 と、聞くと、女性は胸ポケットから黒い手帳のようなものを取り出した。警察の人だろうか。


 「私は」


 縦に開かれた手帳の上の方にある紋章をみて、俺はあっと声を出しそうになった。

 その紋章は、日本警察、特殊急襲部隊の、


 「SATの電脳捜査班第三班班長、夢野桜子

  だ。 貴様らをスカウトしに来た」

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