女子会その1
本日諸事情で更新分書ききれませんでしたので、おまけ話になります。
時系列的にはちょっと前になります。
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「かんぱい」
カチン、チン、とコップ同士の当たる音が無数に部屋で響く。
とあるホテルの一室。
見渡す限りの美女・美少女の空間。
白、朱、翠、黄の精霊4人。
そして合法ロリ、小動物巨乳、侍ポニテ、合法ロリ巨乳の計8名。
もしこの部屋の様子を動画配信したら、例え有料コンテンツであってもとんでもない数の視聴者数が集まるだろう。
乾杯の音頭を取った見た目子供、頭脳は大人こと知佳はグラスに入ったアルコールをぐいっと飲み干す。
「そんな一気に飲んで大丈夫なの? 知佳ちゃん」
「平気」
心配するシトリーに知佳は平然と答える。
「案外イケるクチよ、知佳は。この中で一番弱いのはむしろシトリー姉さんなんだから、あまり無茶しちゃ駄目だからね」
「お姉さんは大丈夫、大丈夫」
スノウの言葉にほんわかした笑顔でシトリーが返す。
そして、この面子で集まれば話題は必然。
「折角の機会だ。僕としては、先輩たちに色々聞いてみたいものだね」
「何をよ、香苗」
「そりゃあ彼と今の関係になった経緯とか、実際のところどう思っているのか、とか」
暇つぶしに能力で飴玉サイズに凍らせたお酒を噛み砕きながら、スノウは嫌そうな表情を浮かべる。
「恋バナというやつさ」
「私はお兄さまの全てをお慕いしています。というか、推しですね。推し」
悠真のいないところでは一人称が『私』になるフレアがいの一番に答えた。
本人はここにいないというのに頬を染めて体をくねらせる姿はまさに恋する乙女……いや、もはや信者である。
「一挙手一投足全てが好きです。全てが。もう他に何も見えなくなっちゃうくらい好きなんです」
「はいはい、わかったわかった。あんたはもういいわよ、フレア」
「まだ語り始めなんだけど? スノウ?」
「止めなきゃあんた一日中喋ってるでしょ」
呆れた表情で止められ、不満げに眉を顰める。
「次、はい綾乃」
「ええっ!? 私ですか!?」
「フレアにこのまま語らせてたらマジで終わりがないわよ」
「ええ~……」
突然白羽の矢が立った綾乃が困ったように体を縮こませる。
とは言え、本当に困ったり嫌がったりしているわけではない。
結局のところ彼女も語りたいのだ。
全員が同じ人物を好いているという特殊な環境であるということも手伝って、語りたい欲はいとも簡単に刺激される。
「わ、私は……やっぱ優しいところですかね」
「そういうテンプレートな回答は求めてないかな、綾乃サン。僕はもっと深掘りしたいんだよ」
「う、うぅ……」
綾乃が目と顔を赤くして俯く。
「き、筋肉ですかね……」
「あー、案外いい体してるわよね悠真」
「スノウさんもお好きなんですか? 筋肉!」
「えっ? いや、あたしは別に好きでも嫌いでもないわよ。ないよりはある方がいいかもってくらいで」
「ツンデレ語」
「ちーがーう!」
知佳がぼそりと突っ込み、スノウががくがくと知佳の肩を揺する。
「そ、そういうスノウさんはどうなんですか? フレアさんと私は答えたんですから、今度はスノウさんの番ですよ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! あたしとしては我関せずみたいな感じで構えてる未菜がまず気に入らないわね!」
「うん?」
話題を振られた未菜が首を傾げる。
「悠真くんの好きなところかい? そうだな……強いて言うなら私を女の子扱いしてくれるところかな。後は強いところとか。強ければ誰でもいいわけではないけどね」
「……ちょっとは照れなさいよ」
「本人がいないところでは何言っても平気さ。私はウェンディさんが気になるかな。一番最初に関係を持った人物だしね」
こういう場ではあまり表に出ない性格のウェンディへ未菜からパスが投げられる。
場のノリに乗るべきか、誰かへ適当にバトンを渡すべきか。
少し考えたウェンディは口を開く。
「そうですね。私は……」
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続く(いつか)
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