閑話
「……はあ? サプライズプレゼント?」
俺は目の前で手を合わせる親父に、怪訝な声で返す。
「そうなんだ。母ちゃんにサプライズでプレゼントを送りたいんだよ。でも俺、昔っからプレゼントのセンス皆無でよ。お前、女の扱いに慣れてるだろ?」
「人聞きが悪すぎる」
「でも事実だろうが。頼む、父ちゃんを助けると思って案だけでもよ」
「ええー……」
別に俺もプレゼントのセンスが良いとか自分で思ったことはないのだが。
「なんか花とかでも送っときゃいいんじゃねえの」
「花か……いいな……」
花でいいのだろうか。
いや、知らんけども。
俺も母さんが何を貰ったら喜ぶとかはわからないからなぁ。
「いっそ母さんに聞きゃいいんじゃねえの。サプライズで送られて喜ぶようなもんじゃなかったら互いに得しないし」
「おめーそりゃそんなこと言っちまったらおしめえよ」
「おしめえかなあ」
いや、ぶっちゃけた話、親父が送るもんなら母さんは大抵なんでも喜ぶとは思う。
反応に困るようなもんでもなければ。
「なんだ悠真、お前サプライズは嫌いか?」
「いや、嫌いではないけど……ていうかなんでそもそも母さんにプレゼントだよ。なんかやらかしでもしたのか?」
「いや、やらかしてはない」
「……じゃあ何だよ」
親父は半笑いだか半真面目なんだか気持ち悪い表情を浮かべながら、俺の肩をぽんと叩いた。
「お前、妹か弟どっちがほしい?」
「……………………は?」
たっぷり無言を貫いてしまった。
何言ってんだこの親父。
そして衝撃的なことを言い出した。
「いや、まあ。あれだ。母ちゃん、妊娠したんだよ。まだ男の子か女の子かわかんねえけど」
「…………マジで?」
「マジで」
俺は天井を見上げた。
そして言われた言葉を頭の中で反芻する。
つまり、なんだ。
俺は兄貴になるってことなのか?
…………マジで?
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