第1話 断れない話
本物は知らないが、多分フラッシュバンを直視してしまった人間の気持ちが分かった。
白く塗りつぶされた視野。 三半規管がまるで意味を成さない様な感覚喪失。
体感で1分ほどはのたうち回った気がする。 尤も、時速70㎞/hで運転中のトレーラーが1分も制御を離れたらどうなるかはすぐに想像が出来るだろ?
正直、生きた心地がしなかったが、感覚が戻った瞬間肝が冷えた。
何せ「良く分からないけど、ここ何処?」だからな。 目の前に石の壁だからな。普通なら「あ、私死んだ」って思うところだ。
だけど、こうやって考えてる間も、トレーラーは動かないし石壁も近寄ってこない。スピードメーターは何故か0km/hを指している。
「状況を説明しよう」
突然声が響く。バリトンが効いた渋い声。羨ましいな。私の様な潰れたカエルの様な声からしてみれば。
「経緯は省くが、君は現在強制転移魔法により拉致され、この世界へと引きずり込まれた形になっている。本来のターゲットは…… そこらに転がっている
ふむ。丁度発動時に真横に居たが為に巻き込まれた形だと、報告にある。
ああ、現在強制介入中だ。尤も、そんなに長くは停止出来ないんだがな。
この世界の
ふむ、見えて来た。
つまり、これはダメな方のパターンか?
「ご明察。 君には
君の経歴を見させて貰ったが、すべての経験をスキルと言う形で付与。肉体年齢も、あの
おや…… 君はずいぶん奇特な…… そちらの
中途半端な性もどちらか選択制でどうだ?
成功報酬は別途相談だ。 君のスキルに相談先は組み込んであるので、好きなだけ書くと良い。出来る事、出来ない事は事前に通達しておくがね。
どうだ? 悪い話ではないだろう?」
ああ、随分と旨い話だ。
長年悩んできた事まで全て解決してくれるなんて、どれだけ「美味しい話」なんだろう。
こう言うのは大抵私も使い捨てか、アンタもグルか…… 本当だから、ブラックも泣いて逃げ出す
「随分酷い言われ様だが、まあ仕方がない。こう言うのは信頼がモノを言う。
正解は、
さて、無駄話をしている時間も惜しい。この話、受けるか?」
正直、悩まなかったとは言えないが、この中途半端な身体にも待遇にも、時代にも不満しか無かった。
訳が分からないが、受けなかったらダメな方のパターンで悲惨な目に遭うのは予定調和なんだろう。
ならば受けるしかない。
時間が惜しいと言ってるのは本当なんだろう。 時間停止なんてまさに神の
「OK、君が分かり易いようにキャラビルド形式にした。
操作は分かるか? 分かり易いように、この世界の平均値も併記してあるので、参考にしてくれ。
残り時間は……720秒だ。 それまでに決めてくれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。