第79話 ガードがかたいの♪

 孤児院から出るという事は、そのままオリビアさんとの接点が無くなるという事でもある・・・。


 同じ屋根の下で暮らすこと2ヶ月・・・物語であればラッキースケベの一つでもありそうなものだが、オリビアさんに隙は無かった・・・ガードがかたいの♪




 バーベキューの後、子供たちとの感動?のお別れ会も終わり今日までは、と孤児院へ泊まっていく事になった。寝る間際まで子供たちとふざけ合い、笑いあって、最後には互いに笑顔でしめる事が出来たと思う。


 以外にも最後まで睡魔に抗っていたベルもついに落ち、みな夢の中の人と化した。

 子供たちの寝息だけが聞こえる部屋で、いろいろと思い返し寝付けそうに無かったので、夜風に当たろうと一人外へと出た。


 町も眠りにつく時間なのか、それとも外れに位置する為か、外も静かなものだった。


 畑やウサギの解体で使っていた台など、この場の端々に思い出の欠片が散らばっていた・・・。




 夜風に揺られる苗を目の端に置きながら感傷に浸っていると、裏から戸の開く音が聞こえてきた。振り返るとそこにはオリビアさんの姿が・・・。


 普段の修道服とは違い一瞬分からなかったが、特徴的な目やほくろを見て漸く分かった。

 今まで頭巾に隠れて見た事が無かったが、胸元まである茶色のストレートヘアーと上から羽織って良く分らないが、シュミーズ?スリップ?・・・たぶんそんな感じの寝間着であろう服装が垣間見える。

 ・・・お陰で目のやり場に少し困ってしまうが・・・こんな時間に一体どうしたというのか・・・




『・・・な、何かありましたか?』



『戸の開く音が聞こえてきましたので・・・。』




 どうやら俺が外へ出てきた所為で不審者の心配をさせてしまったようだ。




『ああ!すみません。起こしてしまいましたか?』



『いえ、私も寝付けなかったので、ちょうど夜風に当たろうと思っていたところなんです・・・。』



『そうだったんですか・・・。昼間とは違い涼しくて気持ちが良いですからね。』



『そうですね。・・・マサルさんは・・・何だか不思議な方ですね・・・。見た目通りの幼さの時もあれば、すごく頼り甲斐のある年長者の様な雰囲気もあって・・・少し戸惑ってしまう時があります。』



 少しはにかみながら、そう言うオリビアさんにドキドキしてしまうのは、思い当たる節がある所為か、はたまた普段見慣れぬ姿の所為か・・・

 いつもの貞淑な印象とは違う、“女性”を感じさせるその格好から、今度は目が離せなくなってしまう・・・。




『すみません、突然こんな事を・・・可笑しいですよね?』



『い、いえ・・・。』




 まるで“DT”の様な反応しか出来ない・・・ああ、この身体“DT”だったわ・・・。




『・・・明日からもう会えないと思ったら、何故かもっといろいろお話しをしておけば良かったと思ってしまって・・・。』




 それは少なからず俺との別れを寂しいと思ってくれているからだろうか?・・・




『俺ももっとオリビアさんと話がしたいです!』




 ・・・その日は2人、心ゆくまで“お話”をするのであった・・・。

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