第57話 バー○ナックル

 嬉々としてノエルさんが説明してくれた、依頼の受注はこんな感じ。



 ギルド側の壁に掛けられた依頼の木札を見て、受けたいものを選び受付へ持ってくる。ここから先は冒険者証を貰った時に説明された通りで、冒険者証と一緒に受付へ出し受注手続きをして貰うらしい。


 どうやら朝方、冒険者達が壁際に集まっていたのは貼り出された依頼を選んでいたからの様だ。


 依頼の木札には、期限と報酬が共通で書かれていてこれに、採取であれば種類と数が、討伐であれば対象と数に場所が足されたものが書かれている。


 護衛もあるがこれは条件が多くなる為、他の物とは離され少し大きい木札で書かれている。

 内容的には、行き先に往復なのか片道なのか、護衛対象の簡単な情報や移動手段、推奨定員数にこちらは期限では無く期間と言うかスケジュール的なもの。あと報酬とは別で準備費として前金でいくらか等、割と細かく情報提示されていた。


 ただ護衛はC級以上で無ければ受けられない為、まだ俺には関係ない様だった。


 他にも、前情報通りお手伝い系や雑用的なものもあるらしい。



 依頼のランクは、受付カウンターの方から高いものが貼り出され、出入口に近づくほど低くなっているそうだ。なのでどの依頼を選んでいるかで、その冒険者のランクも分かってしまうという事の様だ。


 まあ地場で依頼を受ける分にはそんなトコを見なくても大体分かるそうだが・・・。



 とりあえず、剣を買うまでは低ランクといえど討伐は止めておこうと思う。戦闘の場合、今のままの装備では近接になった時、ナイフか俺の奥義「バー○ナックル」ぐらいしか打つ手が無いのだ。

 ・・・両手を挙げて前にジャンプしなから殴るテ○ーの技・・・これで敵を倒せるのだ、練習しないヤツはいないだろう・・・実戦投入はまだした事は無いが・・・



 戻って、



 という事で、ノエルさんにアナウンス。



『ありがとうございます。じゃあとりあえず採取依頼を受けてみようと思います。』



『そうですね。まず慣れる為にもその方が私も良いと思います。』



 俺は教えてもらった通り依頼の貼り出されている壁へと向かい、試験の時にも採った回復草と魔草の採取を受注しようと思い木札を探すが、いくら探しても見付けられなかった。

 他の薬草はあるがその2つだけ見当たらず、変えようか迷っていると、



『何か分からない事でもありましたか?』



 と裏から声を掛けられ、振り返るとノエルさんが立っていた。

 俺は少しバツが悪くなりながらも理由を説明すると、ノエルさんは少し慌てながら謝ってきた。



『す、すみません。その2つは常設依頼なので依頼板は貼り出されていないんです。説明が抜けてしまってました・・・。』



『そうなんですか。常設依頼って事は受注の手続きをしなくてもいいんですか?』



『はい、この2つは安定供給が求められるので常設となっているんです。』



(そうか・・・。まあ町の外はおろかギルドから出るのも久しぶりだからな。森へ行くなら安パイで行くか・・・。)



 受注の一連の流れで手続きもやってみたかったが、とりあえずリハビリからだと思い、そのままこの2つを狙う事にした。



『わかりました、じゃあ今日はその2つを採りに行ってきます。』



 こうして俺の冒険者初クエストが決まったのだった。

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