第30話 ・・・いきなりでスパルタ過ぎん?

 狩りも終わり村へと帰って来た。


 早く帰って来たいが為に本気で獲物を探しまくった結果、自身過去最高の猟獲であった。因みに獲った獲物の鑑定結果がこれ。




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 名称:ウサギ

 説明:動物。臆病。森に広く一般的に存在する。


 状態:死

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 名称:足兎

 説明:魔物。臆病。後ろ足が発達し蹴力が高い。森に広く一般的に存在する。


 状態:死

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 変わらずウサギと足兎だけだったが、鑑定のお陰か少し新鮮な気がする。

 ・・・いや、鮮度の意味ではなく・・・。



 血抜きを済ませたそれらを、いつも通りイエールさんとガブスさんが解体しようと準備を進めているところで、意を決し、



『今日は俺も解体に参加します!』



 と、高らかに宣言する。


 するとイエールさんもガブスさんも互いに顔を見合わせ、笑顔になりながら、



『よし!じゃあやるか!』



 と応えてくれた。


 最初に参加して以来、なかなか踏ん切りがつかなかったが確実に成長しているスキルに触発され、自身が立ち止まったままでいる事に若干の焦りを感じ始めた。




『そう、そこでナイフをここに入れて・・・』




 多少の不快はあるものの、2度目という事もありそこまででは無かった。まあ狩りの度、血抜きの為に毎回ナイフの差し込みを見ていた感じ、大丈夫そうだと判断しての申し出だったので、想定内といえば想定内なのだが。


 ふと思い、解体され“肉”になったモノに鑑定をかけてみる。すると、




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 名称:ウサギの肉

 説明:食肉。生後間もないほど柔らかい。


 状態:新鮮。要加熱

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 名称:足兎の肉

 説明:食肉。発達した後ろ足は筋が多く堅い。


 状態:新鮮。要加熱

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(おお!変わるのか!)



 説明は相変わらず簡素だが状態を確認出来るのは大きい。


 この村には医者も居らず・・・というか医者って存在するのか?まあこの村での主流は予想通りの民間療法なので食糧の衛生管理に大いに役立つはずだ。




『初めてにしては上出来だな!』


『ああ。目も背けずよく見ながら出来ていたよ。』




 イエールさんとガブスさんに褒められながら、

『上手くなるにはとにかく数だ。』と、次から次へと解体していく・・・過去最高の猟獲、ここにて裏目に出てしまう・・・。



 もう不快とかそんなんじゃ無く単純に物量が多い。二人は俺が勉強する為と思ってか、完全に口は出しても手は出さないスタイルを通すつもりの様だ。



(・・・もういいよ・・・手伝ってよ・・・いきなりでスパルタ過ぎん?・・・。)



 初解体という山場を越え、もはや作業となりつつある事に泣きが入る。



 辺りも暗くなり始めた頃に、ようやく解体作業が終わった。



(もうムリ、死ぬ!握力が・・・。手に力が入らない・・・。)



 その場に右手を押さえ、うずくまる。

 慣れない作業と血や脂で余計に力が掛っていた所為か、手はもう限界だった。


 ・・・ハッ!これは見る人が見たら、右手に宿る暗黒竜を抑え込む姿に見えなくも無いのではないか・・・ヤバい、違う意味で死んだわ・・・




『最後の方は大分良かったんじゃないか?』


『そうですね。それなりの数を捌きはしましたが、今日1日でここまで出来る様になったのは予想以上ですね。』



 ガブスさんとイエールさんからも合格を貰えた様だ。

 頑張った甲斐はあったと思う・・・たぶん・・・。




『お疲れ様。いま解体した肉は明日以降にして、今日は昨日獲れたイノシシを使った料理を準備しているから夕食にしようか。イエールも食べていくだろ?』


『はい、いただきます。』





 こうして俺の解体作業強化訓練はやっと終わった。





 ・・・まるで強化ギプスでも着けていたかの様なバキバキの腕は、大リーグボールでも投げれそうなくらい仕上がっている・・・気がする・・・。



 個人的には2号が好きだったなー・・・。

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