第29話 でたーっ!
話もそこそこにイエールさんと森での狩りを再開した。
『マサル、そろそろ探すぞ。』
『はい、わかりました。』
ここ最近・・・いや、探査のスキルを得てからだが、獲物の発見は俺が担当していた。
イエールさんは視覚強化のスキルだけだと思っているが、ズバリのスキル“探査”のお陰で成果はまさに“さまさま”である。
(では今日も“探査”先生よろしくお願いしますよ、っと)
そしていつもの様に探査のスキルを発動する。
集中し、もたらされる情報を取捨選択して、必要な情報だけ抜き出し、それらから行動を予想して獲物を探す。いつもながら集中した時に感じる判断能力の速さに自分でも驚いていると、突然、
『スキル:鑑定を取得しました』
(!?また来た!今度は鑑定か!)
新たに得られたスキルに気持ちも盛り上がる。
しかも今回はメジャーも、どメジャーの“鑑定”である。
最近では“これ”が主役の物語も少なくないぐらいで、自身も“異世界に持っていきたいスキル”のトップ5に入るぐらいには渇望していたものだ。
故に喜びも早々に早速使ってみる事にする。
先ず手近に転がっている石を見てみる。探査の時と同様、使い方がイマイチ分らないのでとりあえず意識を集中させてみる。すると、
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名称:石
説明:鉱物。広く一般的に存在する。
状態:-
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(出た!)
いきなり目の前へウィンドウの様に表れた説明文。感覚的に言えば3Dシアターの様に浮かび上がって見えるそれは、視界には映るのにそこに無いのは分かっている感じ。
しかしこの文字、先日習ったばかりの異世界文字で書かれているのだが、理解出来る様になってからこのタイミング・・・これは偶然なのか?
折角なので、色々見てみようと思い視線をずらし“鑑定”を発動させる。
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名称:木
説明:樹木。広く一般的に存在する。
状態:良好
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名称:草
説明:植物。広く一般的に存在する。
状態:良好
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これは・・・えらく簡素だがちょっと簡単なものを見過ぎたか?
まあ状態の内容が違うがこれは無機物の所為だろうか?鉱石なら或いは変わるのか?
ならば、と探査にて見つけた薬草を鑑定してみる。
すると、
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名称:傷癒草
説明:薬草。葉を揉み傷口へ当てると治りが早くなる。
状態:良好
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(でたーっ!)
紛れもなくそれはイエールさんから教えて貰った薬草と同じ名前と効果だった。
もたらされた期待通りの結果に興奮が抑えられない。
(これは中々使えるんじゃないか?探査と鑑定のコンボは、かなり有効だろ。)
しかもまだ他にもスキルが手に入るかもしれない可能性を考えれば、もうウハウハである。
軽く思考のお空に飛んでしまっていたら後ろよりお声を頂戴する。
『マサル、どうした?何か見つかったのか?』
『い、いえ。何でもありません。』
(気を取られ過ぎたな。とりあえず詳しい考察は後にして・・・。)
狩りへと集中し直すのであった。
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