第20話 はーい!いま探してまーすっ!

 突然のその“声”に一瞬戸惑ってしまう。


(!?今の“声”は!?探査って言ったのか?これはもしかしてやっぱり・・・)



 予想していた福音の正体を確認するチャンスだと思い、新たに聞こえた“声”に興奮しつつも試してみる。


(探査ってことは探す事に関係してるよな・・・)


 そう思うと、一年を通して採れると教えて貰った薬草を思い返し周囲を探してみる。

 すると、視界のあちこちにぼんやりと光るモノが現れた。その内の一番近いものへと近寄り確認してみると間違いなく思い浮かべていた薬草がそこにあった。


(!?間違ってなかったんだ!)


 仮定していた事が事実だったと分かり興奮を抑えきれない。


(やっぱりこの世界にはスキルがあったんだ!福音はその獲得を告げる“声”で、俺にはその“声”を理解出来るスキルがあったって事か!)


 思わぬ発見に舞い上がっていると、ふと新たな疑問が鎌首をもたげる。

 それはイエールさんの言っていた2つ以上のスキル所持の有無とガブスさんが言っていたスキルの取得条件に関するところだ。


 取得条件については『稀に従事していたら――』と言っていたし、そこは実際に取得しているイエールさんの話からも、

 という認識だったが、今回俺が取得した“探査”はお世辞にも経験を積んだと言える程、大した事をしていないのだ。

 そして2つ以上のスキル取得の件も合わせると、単に“転生者の恩恵”というだけでは無い様に思える。それは最初にあの白い世界で聞いた“音”がまだわかっていないのがあると記憶しているからだ。

 あの時、“異世界言語理解”を取得する前に数回“音”を聞いていた筈だが、その内2つは既に判明している“目”と“耳”で間違いないだろう。でもあの時聞こえた“音”は2回だけではなかった様に思うのだ・・・それこそあと1~2回、全部で3~4回は聞こえていたと思う。

 つまりまだ判明していないスキルのお蔭で2つ以上のスキル取得と、且つ取得に必要な経験量の短縮化が出来たのではないのかと思うのだ。


 もしこの仮説も正しかったとすれば、通常1つ持てるか持てないか分からないスキルの恩恵を俺は何個も受けられるという事だ。それはもうドキドキとワクワクが止まらない展開である。まあスキルとして認識される種類が何なのかは分かっていないのだが・・・。


 ただ、折角の異世界で魔法の挫折からこの方、全っ然異世界感が無かったからか、もうテンション爆上がり中である。


(いやー、魔法が使えなかった時はいろんな意味で死んだけど、ついに来たんじゃない!?)



 と、そんな事をかんg――『マサルっ!獲物の痕跡は見つかったかー?』

『はーい!いま探してまーすっ!』・・・忘れてた・・・。

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