第17話 そんなにハードル上げないでー!
二人とも無言で食べ続けている為、不味くは無いと思うのだが如何せん自分で作ったものを他人が食べたら感想を聞きたいのが人の性というものである。
なので、
『味はどうですか?』
と恐る恐る声を掛けると、器を持ち上げ直接シチューを掻き込んでいたイエールさんが丁度食べ終わったのか、空の器を机に置きながら、
『こんなに美味い食い物は初めて食べた!』
と、興奮した様子で言った。するとガブスさんも丁度食べ終わったのか同じく持ち上げていた器を置きながら、
『ああ、私も長年生きてきたがこんなに美味い食べ物には初めて出会った!』
と、興奮と感動が冷めやらぬ様子で語っていた。・・・二人とも興奮しすぎて口から色々飛び散っている・・・キチャナイヨ・・・
(良いねー!やっぱ作ったものを褒めて貰えるのは嬉しいもんだ!これなら料理で一旗揚げるのも夢じゃないんじゃない?・・・とは言ってもそこまでレパートリーが多い訳じゃないけど・・・。)
などと思いつつ、褒められて嬉しくなりニマニマが止まらず『ありがとうございます。』と返しておく。するとガブスさんが、
『いや、この白い方もそうだがこっちの焼いたウサギ肉の方もいつも食べているモノとまるで別物だ!』
と、もう一品のウサギ肉のステーキにも感動している様だった。こちらはただ焼いただけなのでそこまで違いは無い様に思えるが、ガブスさんの言葉を聞いてイエールさんも、
『えぇ、普段食べているモノより肉も柔らかいし、何より肉の臭みが少なくて匂いが良い!』
『肉は焼く前に叩いていたから何をしているのかと思ったが柔らかくする為だったのか・・・。それにこの香り、臭みを上手く打ち消して刺激のある香りに変化せさせている。この香草は・・・こんな使い方があったとはな・・・。』
ガブスさんは何かどっかの食リポみたいになっているが、しっかりと調理工程を見られていた事に若干焦りつつ、
『肉は叩くと柔らかくなる事を何となく憶えていたので・・・。香草は裏庭を見に行った時に良い匂いがしたので一緒に焼いてみました。』
と、とりあえず言い訳しとく。すると、
『マサルは元々料理をしていたのかもしれないな。』
イエールさんの言葉にガブスさんも、
『ああ。手伝いとかではなくどこか名のある料理店で修業していたのかもしれないな!』
などと二人で盛り上がっていた。俺はといば、
(いや、そんなにハードル上げないでー!)
と焦りつつ、いろいろと我慢の出来なかった自分にも後悔をしていると、
『何が切っ掛けで記憶が戻るか分からないし、マサルにはこれからも狩りに付いてきて貰っても良いですか?』
とイエールさんがガブスさんに話しをしていた。するとガブスさんも、
『そうだな。色々な事に触れさせてみた方が良いかもしれないな。』
などと話しがドンドン進んで行き、次回の狩りも勝手に参戦が決まったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます