第10話 異世界、割と社会してる・・・
波乱から始まった共同生活・・・いや居候生活はおおむね順調だ。
日常生活系は、まあ・・・置いといて、気になっていた一般常識を教えて貰えたのは大きかった。
『マサル、他に聞きたいことはあるか?』
『はい。この村はどこかに属しているんですか?』
『ああ。ではまずこの国のことから・・・・』
結論からいえば、やはりここは異世界だったようだ。いわゆる剣と魔法の――というやつ。
まとめるとこんな感じか?
ファーガス王国 ノリッジ辺境伯領 キャベル村
以上
まあ地理的なのはどうしても有名所以外はあまり情報は無い様で、国だけでいえばここ王国以外では他に、帝国、共和国、聖教国の三つが国として認知されていてこれとは別に独立した中立の学園都市というのがあるそうだ。
この国は統治領名の通り貴族制らしく、ここは王国で一番東にある辺境伯領で他にもそれぞれの方角に辺境伯領が置かれているようだ。国のほぼ中央に王都があるらしく、“人生で一度は行ってみたいところ”といった場所らしい・・・お伊勢さんかな?・・・。
文明的には、やはり中世ヨーロッパくらいで科学なんてものは無く、魔法及び魔導具が発達した世界のようだ。・・・魔法、あるのかー・・・使えるかなー・・・。
とはいっても、やはりそこはテンプレ。ご多分に漏れず適性が必要との事で、だいたい20人に1人ぐらいの割合でしか使えないらしい。歩けば当たる程ではないが、そこまで珍しいものでもない感じ、まあこの村には一人もいないのだが。
数年に一度、魔力測定器なる魔導具を携え、各地域を治める貴族が抱える専任の役人を、各集落へ派遣するのだとか。魔法の資質が確認されると、その地域の領都にある魔術学院への入学を認められる、という流れらしい。
入学を認められるだけで強制ではないが、基本みんな入学するのだとか。退学や留年といったペナルティがあるにはあるが、真っ当に卒業できれば、まず食いっぱぐれる事はないみたいで、就職に事欠かないとの事。授業料などの諸費用は一般家庭では払えないところが多いそうだが卒業後、数年のお礼奉公を条件に免除される制度もあるらしい。
いわゆる、立身出世の王道パティーンというやつ。
あとは種族として一番多いのは人族で他には亜人がいるらしい。亜人は人族以外の総称なので種族として認知されているのはドワーフやエルフといったあたり。他にもいるらしいが数が少ないのでこの村ではまず会えないそうだ。
世界共通の脅威として魔物もいるらしく、動物より強暴で人的、作物的、環境的にみて被害が大きい存在だが、単に敵としてだけではなく資源としての側面もあるようで、魔物から取れる素材は今のこの世界を支える一端になっているのだ。
まあ野生動物の延長的な考えで、絶対的危険生物以外は適度な共生関係を維持している――といった感じらしい。魔物が跋扈するダンジョンも存在するらしく、紙一重ではあるがこれを持つ領土は上手く回せば鉱山を持つのと同じくらい価値があるのだとか。
そこで必要なのがその魔物を討伐する人材という訳だ。魔法使いはまさにうってつけで、人材育成に力を入れているのはそういう面もあるらしい。
脅威を排し、資源を得る。
異世界、割と社会してる・・・
ただ、いろいろ聞いてみたが、“スキル”という概念は存在しないみたいだった。
(おかしいな・・・確かに聞こえた筈なのに・・・)
その事を聞いた時、『ただ、・・・』と付け加えながら説明してくれた。
『稀にその従事していた事が飛躍的に成長するタイミングがあり、“それ”を経験した事がある者は、一様にその前兆で頭に直接“音”が聞こえてくるという。人によって聞こえ方が違うようだが、我々はそれを“福音”と呼んでいるよ。』
自分には経験が無いが・・・と言いながら教えてくれた。
(“音”か・・・。確か最初は“音”が聞こえて、その後“声”も聞こえたのか・・・。これは俺が聞いたモノと同じなのか?)
モヤモヤとはっきりしないまま、まあその内わかるかと思考を変えるのだった。
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