14話 トロッコのジレンマ。
「…ッ………はは、血ってこんなに出るんだな……ゲホッ」
俺は貫通した場所から大量に流れ出る血を見てまず最初に思ったことがそれだった。
「ハルト!?どうして…?」
メフィアが声を張り上げた。
「二人を守んのは…俺の役目だ。」
俺はそう言って不敵に笑い、いつの間にか距離を取っていたミズキの元へ一歩、一歩と歩く。血を垂らしながら、ゆっくりと。…どこかの団長のように。
「そ、そもそもなんで動けるのよ!?」
「それは…俺のスキルが派生したからだ。」
そう、あの時。ミズキとメフィア達が話したときだ。
『あはっ♪ハルト、結局今までやり直した時間は無意味だったね。─あなた達も災難ね。一度で済むはずの
ミズキのその話を聞いて俺は心が砕けそうだった。だけど…
『そんなことないわ。だってそれは私達にとって災難じゃないからよ。』
『へぇ、どうして?』
『私達を救うためにやり直したんでしょ?私達を失って悲しいからやり直した。それって、なんだか愛を感じるでしょ?』
『お兄様にきちんと愛されているって証明されたのにこれのどこが災難なんでしょう?』
そう言われて今までやってきた事は
そしてメフィアが、
『さ、殺すならさっさとヤりなさい。覚悟なんてとうの昔に出来てるわ。』
と、言ったとき、俺はこのままじゃ
そう思った瞬間俺の【縮地】が派生した。─【瞬間移動】というスキルに。
その名の通り瞬足に移動できるスキル。俺はそれを満身創痍の体で使い、メフィア達の前に飛び出た。
そして今の状況になっている。
「っ!?ハルト…そのステータスは!?何なの!?何で
「…あ?…ホントだ…はは。」
俺はミズキに指摘され自分のステータスを視る。
#
カグラ・ハルト Lv999…???種族:超越者
HP:ー345/99999
MP:62000/99999
STR:99999
VIT:99999
AGI:99999
DEX:99999
INT:99999
MND:99999
LUK:ー99999:Errer
属性:魔神
スキル:
#
俺のHPは既に0を切り、マイナスになっていた。マイナスの数字は時間が経つにつれその数を大きくしていった。
「『トロッコのジレンマ』、だったよな?」
唐突に俺は話す。
「…え?」
「あの時だよ、世界をまたやり直すときに話してくれた奴だよ。」
俺は息を切らしながら話す。多分だが、もうこの体は持たない。マイナスになってる時点でそれは明白だった。
「『ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?』だったよな…誰かが犠牲にならなきゃいけないなら…」
俺はミズキに近づいて言った。
「─俺が犠牲になる!」
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