13話 繰り返される惨劇。
「ハルトは私達が守る!」
「お前にお兄様は殺させない!」
俺を庇うように立ちふさがったのは…メフィアとエミリアだった。
「!?二人、とも…下がって、ろ…」
俺は言葉をとぎれとぎれにさせながらも言った。体の中でとてつもないダメージがあるせいでうまく喋ることができない。傷口からは今も血がドクドクと流れ出ている。
「嫌よ。…ハルト安心して。私達が例え死のうと貴方を守るから。」
「それじゃっ、ダメ、なんだ…!」
俺は二人を救うためにやり直して来た…今度失ったらもう…
「ハルト!目を覚ましなさい!」
「え?」
「何度も何度も私達を救うためにやり直したんでしょうけど、そろそろ現実を見なさい…私達が死ぬのは変えられない。辛いけどね…」
「でもそれは私達が選んでお兄様を守って死んだ。何度も。」
「!まさか…二人共…記憶が…」
俺は二人の背中を見て、話を聞き、気づいた。
彼女達は思い出しているのだ。幾度となく自分等が死んで、そして俺が二人を救うためにやり直した、あの99999年分の記憶を。
「だからといって…」
「ハルト、いい?コレは私達が
「お兄様は、まだ生きなきゃだめなんです。死んだ私達の墓参りに誰が来るんですか?だからお兄様には生きてもらわなきゃならないんです。」
(それじゃ意味がないんだよ…なんのためにやり直したと思って─いや、違うか…)
俺はそこで気付く。彼女たちはこれまで一度も『
彼女たちは過去、俺を守るために犠牲になった。しかし、俺はこれまで…
それこそが、
「あはっ♪ハルト、結局今までやり直した時間は無意味だったね。─あなた達も災難ね。一度で済むはずの
邪神は“私達”にそう言ってきた。
「そんなことないわ。だってそれは私達にとって災難じゃないからよ。」
「へぇ、どうして?」
「私達を救うためにやり直したんでしょ?私達を失って悲しいからやり直した。それって、なんだか愛を感じるでしょ?」
「お兄様にきちんと愛されているって証明されたのにこれのどこが災難なんでしょう?」
「………………」
私達がそう言うと邪神は黙った。今のを聞いて多少ショックを受けているようにも見えた。それは当然だろう。過去とはいえ、ハルトの事が好きだったんだから。私は、
「さ、殺すならさっさとヤりなさい。覚悟なんてとうの昔に出来てるわ。」
「っ!そこまで言うならお望み通りヤッてあげるわ。─さようならっ!」
私は少し、挑発気味に言った。そしてエミリアと手を繋ぐ。
(さぁ、これで最後よ、ハルト。…大好きよ。)
私は目を瞑った。その直後─
ドスッ!
という音が響き、痛みが私を襲って─来ない…?
「な、なんで…動けるの!?」
邪神の困惑の声が聞こえ、私は目を開いた。そこには…
「…ッ………はは、血ってこんなに出るんだな……ゲホッ」
そう言いながら血を吐いたのはハルトがだった。ハルトの腹部にはあの大剣が突き刺さり、貫通していた。
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