9話 雪奈からの贈り物。
─些細な事だった。それは、俺が作った謎を雪奈が解いた。雪奈の答えは当たっていたのに、間違っていると俺が勘違いして、間違っていると俺は言った。その後、当たっていることが発覚し、それに雪奈はキレた。
…そんな些細な事で俺達はケンカした。そして、すぐ謝らなかったことに俺は後悔した。だからこそ今言うんだ。
「─雪奈、あの時はごめん…」
「…顔上げろよハルト。もういいさ、過ぎたことだしな。過去は過去、今は今だ。」
「…ありがとう。あ、そういえばクリスティーナは?雪奈がここにいるって事は召喚されたんだろ?」
俺がそう言うと雪奈は少し、考えた素振りを見せる。
「…あ〜、僕が頼み込んで、ゆ…ハルトと二人きりにさせてもらったんだ。」
「ゆ?…そうなのか。…でも、なんで雪奈が召喚されたんだ?」
「…それはハルトに、
雪奈の言葉を最初、理解出来なかった。
「斬撃系剣技…?どういう事だ…?」
故に俺は聞き返してしまう。
「僕もここじゃない別の異世界に召喚されてな。そこで作った技なんだ。それで、お前に会いに来た訳だ。」
雪奈の言葉を聞いてようやく理解する。
「つまり、その技を俺に教えてくれる為に来てくれたんだよな?」
確認の為、俺は訊く。
「あぁ。だが、時間がない。お前、二刀流スキル持ってるだろ?剣を1本だせ。」
「えっ?あ、あぁ。」
何故、二刀流スキルを持っていることを知ってるのか、戸惑いを隠せなかったが、時間がないのは確かなので、【アイテム・ボックス】から【ソード・オクロック】を取り出した。
「…!それ、いい剣だな。その剣なら教える手間が省けそうだ。ちょいと貸せ。」
雪奈に言われ俺は剣を渡す。
(鑑定系スキルを持ってるのか…?…そうだ!ステータスを視れば…!)
しかし、ステータスを視る前に雪奈に声を掛けられる。
「よし、ハルト。この剣に“ある技”を登録した。そこで試し打ちしてみろ。」
雪奈から剣を返してもらい、そして登録された技を【神眼】で視る。
#
エクスカリバー=アルトリア(?):??????…Error。
莫大な量の魔力を剣にまとわせることで、鋭い斬撃を産み出す事ができる。その斬撃は分裂して、無限の刃となり、相手を襲う。
使用MP:99999。
#
「なんだよ、コレ…強すぎだろ!?」
俺は登録された技に驚きを隠せないでいた。
「だろ?あぁ、それと他にも使えそうな技、登録しといたから見てみ。」
雪奈に言われ俺は登録されている技、全てをを視た。
#
《
Ⅰ:
EXTRA:エクスカリバー=アルトリア。
#
「増えてるのは3個だな。」
その3つを鑑定する。
#
相手の攻撃が自分に当たったとき、その事実を逆転させ、相手が“自身を攻撃した”という事実になる。攻撃数が多い程、相手は自身の傷を増やす。
世界は多次元空間で成り立っている。それを利用し、“今戦っている自分”の次元を探し出し、それを1つの力に集約し、放つ連撃技。
次元を操るので消費MPは激しい。
使用MP:89000
相手が自身に向けて何か、スキルを使用した場合、ソレを斬ることが出来る。
#
追加された技はチート以上の強さだった。
「…は?おい、雪奈…お前ふざけてんのかよ…」
「ふざけてないが?至った真面目だ。」
「どこがだよ!なんつーモン作ってんだ!コレ、最強過ぎだろ!」
「まぁ、それはゴミ箱に置いといて」
「置けるか!ていうか、なんで、ゴミ箱!?」
「おぉ!そこに気付いたか、雑種のくせにやるな。」
「誰が雑種だ!…で、何だ?」
雪奈にちょっと煽られた気がしたが、無視する。
「…お前、“
その名前はなんだろうか、懐かしいような…そんな名前だった。
「懐かしいような名前だけど…覚えていないな…」
俺がそう言うと、雪奈は少し、悲しそうに笑った。
「…そうか。ならいい。…これで確信したからな。」
「?それは─」
『どういう事だ?』と、言おうとしたときだった。雪奈が俺にどこから取り出したのか、銃を向けてきた。
「…ハルト。地上に戻れ。そして“創造神・ラプチェ・オーディン”に気をつけろ。いいな?じゃぁ─」
そこで雪奈は間を置き…
「会えたら、“またな”。」
その直後、俺に銃を撃ってきた。恐らく何らかのスキルで、俺を地上に強制送還するつもりだろう。俺は当たる直前に、雪奈のステータスを視た。
#
キリト・セツナ Lv1 種族:魔王
HP:?????????/?????????
MP:?????????/?????????
STR:?????????
VIT: ?????????
AGI: ?????????
DEX:?????????
INT: ?????????
MND:?????????
LUK:?????????
属性:理滅・強欲・影・光・システム
固有結界:ナヘマー・ルキフグス
スキル:鑑定 能力成長 契約
#
雪奈のステータスはスキル、名前、種族、意外は全て『?』になっていて視ることが出来なかった。そして俺に弾丸が当たり、俺の意識は暗転した。
僕は、ハルトを地上に強制送還させた後、しばらく立ち尽くしていた。そこへ声がかかった。
「…何者だ?そなたは。妾を少しの間動けなくするとは…」
その言葉に僕は狂気じみた笑い声を上げる。
「アッハハハハハ!イッヒッヒヒヒ!」
その笑い声を聴いて、無反応の創造神・“ラプチェ・オーディン”は更に言う。
「このシナリオに“雪奈”が登場するという物はない。だと言うのにそなたは何故現れた?」
その言葉を聞いて僕はまた笑ってしまう。
「アッハハハハ。あぁ?そんな事も分からねぇのかよ?お前本当に神なんだよな?そんな事もわからねぇなんて“低脳”だな。創造神を“下等神”に変えたらどうだ?」
(さすがに、煽りすぎたか…?)
そんな僕の心配(?)は無意味だった。
「…僕は勇気の親友だ。“お前が”勇気の記憶を消したことも知ってる。僕はお前を許すつもりはない。だが─」
そこで、間を置いて僕は言った。
「お前を倒すつもりもない。」
「ほぅ、それは何故じゃ?」
僕は不敵に笑って、煽るように言った。
「倒す価値も無いからだ。そんなことに労力をかけるなら別の事に労力をかけたほうがいいからな。」
「…妾が、価値がないじゃと?」
その声は怒りを帯びている気がした。
「そうだ。“暇つぶし”に僕の親友を使う奴に価値などない。」
そう、コイツに価値はない。僕の親友を“道具”にした奴に価値なんか…
「そうか。妾を侮辱した罪は大きいぞ?死を持って償ってもらうぞ?」
攻撃態勢に入るラプチェを見て僕も少し“本気”を出す。
「いいぜ?まぁ、この“
そう僕は啖呵を切った。
一方その頃、メフィア達は─
「はぁ、はぁ…」
「お、姉様…だい…じょう、ぶ…?」
私とエミリアはボロボロだった。
「あれ、もう終わり?つまんないなぁ。」
その原因は目の前にいる堕天使だった。
私は自分達の攻撃でどれくらいHPが削れているか、【魔眼】で視る。
#
ベクタ・ノーチェ Lv678 種族:堕天使
HP:2327671/3500000
MP:78000/120000
STR:360000
VIT:806000
AGI:470000
DEX:405000
INT:210000
MND:97000
LUK:200
属性:光・闇
スキル:
#
「─ッ!?120万しか削れてない…!?」
ハルトはまだ、意識を失ったままだ。恐らくこのスキルが原因だろう。
#
対象の魂を任意で強制的に眠らさせたり、起こしたりすることが出来る。
#
「倒さない限り、ハルトは目覚めない…エミィ、行くよ!」
「う、うん!」
私達は二人で総攻撃を仕掛ける。しかし…
「ふふ…甘いな。─“アブソリュート・ユーネイジア”」
「ぐッ!?」
「ぎ、ゃあッ!?」
ベクタの魔法により逆にダメージを受けてしまう。
「さーて、そろそろ終わりにしよっかな♪さようなら─“アブソリュート・カタストロフィ”」
(もうダメか…ごめんね、ハルト…)
私は諦めて目をつむった。あと少しでこの命も終わるんだと思うと、悔しくて、悲しくてたまらなかった。自分の頬に涙が伝う。
「─“
その時だった。聞こえるはずのない声が聞こえたのは。
「ガァハッ!?…どうし、て…何が起き、て…」
ベクタの叫び声を聞き、私は目を見開く。そこにいたのは─
「よぅ、待たせたな。後は任せろ。」
ハルトだった。
「な、なぜ、貴方は動けるの!?」
ベクタは動揺していた。ハルトは剣をベクタに向け言った。
「あ?そうだな…“親友の力”だ。─さて…俺のメフィアとエミリアを傷つけた罪は重いぞ?─さぁ、反撃開始だ。」
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